エンジニアの種類によって、転職する時に気にするべきポイントは違ってきます。職種ごとにスキルもキャリアパスも様々です。
フロントエンドエンジニアであれば、フロント周りのスキルを高めることで、転職をより優位にすることができるでしょう。この記事では、今後のキャリアパスを考えた上で、転職に役立つ3つのポイントをご紹介します。
フロントエンドエンジニアが転職するためのポイント
フロントエンドエンジニアが、今後を考えて転職するにあたって、どのようなポイントに気をつけなければならないのでしょうか?有利に転職するためのポイントを説明します。
差別化するための技術を持っているか
フロントエンドエンジニアは、多様なプラットフォームの登場なども相まって、需要が増しています。
一方で、未経験や経験不足でもフロントエンドエンジニアになれるため、人材は増加しています。これはフロントエンドエンジニアが扱う開発言語の学習コストの低さが影響しているといえるでしょう。
そのためフロントエンドエンジニアとして、キャリアアップを狙うためには、差別化できる技術を持っていることが必須になってくるのです。
基本技術だけでの転職は避ける
フロントエンドエンジニアの技術は、バックエンドの技術と比較するとより習得しやすいといえるでしょう。無料の学習プラットフォームや、オンラインスクールの普及によって技術が習得しやすくなったのも理由の一つです。
そのため、転職するのであれば、基本的に抑えておくべき技術以上のことを学習しなければなりません。例えば、HTMLやCSS、JavaScriptは習得しているのが前提となります。
まずは、どの程度のスキルを持っているのかリストアップし、技術レベルが低い場合は、転職活動を始めるのは避けましょう。転職を有利に進めるためには技術の向上や、スキルを増やすことが効果的です。
ポートフォリオなど客観的に評価してもらえる要素を作る
フロントエンドエンジニアの技術は、ポートフォリオを作成することで、客観的な評価を得ることが容易になります。Webサイトを作成することで、視覚的にUIを提案することや、UXといった細かい部分についても評価してもらうことが可能です。
ポートフォリオサイトを作るのもよいですが、GitHubなどにソースコードごと載せるのもおすすめです。ソースコード自体を見せられるというだけでなく、Gitなどのバージョン管理ツールが利用できることもアピールできるでしょう。
★CTO山崎のコメント
HTMLやCSSなど比較的習得しやすいスキルも求められるフロントエンドエンジニアは、エンジニアの中でも比較的人口が多いと考えられます。一方で、JavaScript、TypeScript、フロントエンド用のJSフレームワークなど、複雑化する一方のスキルも求められます。
もしフロントエンドエンジニアとして自信がある場合、これらの経験を中心にアピールすると良いでしょう。特にReact、Vue.js Angularなどのメジャーなフレームワークの実務経験は強いアピール材料になります。
フロントエンドエンジニアとして今後求められる役割とは
フロントエンドエンジニアは、今後も需要がある存在です。そんな中でどのような役割が待っているのでしょうか?これから、高度なフロントエンドエンジニアとして仕事をしていくためのポイントを説明していきます。
UI/UXなどに精通する
技術的に未熟でも、就職しやすいのがフロントエンドエンジニアの良いところです。そのため、必要とされている役割を、誰よりも先に吸収することがキャリアアップに重要です。
まず取り組むべきは、UI/UXに対しての知見を高めることでしょう。例えば、ユーザーライクなUI/UXを持つWebサイトは、以下のような要素を持っています。
・デザインが綺麗
・ユーザーが利用しやすい
・コンテンツの場所がわかりやすい
言葉や色一つとってもユーザーの使いやすさは変わります。細部までこだわりを持ち、UI/UXに精通することが大切といえるでしょう。
新しい技術を積極的に取り入れて実績を積む
全ての職業に通じることですが、新しい技術を取り入れることは常に必要です。エンジニアの場合は特に技術の進化が早いこと、新しい言語やバージョンアップなど、取り入れるべき要素が多いでしょう。
特にフロントエンドエンジニアは、目まぐるしく環境が変化します。常に新しいフレームワークやバックエンドをこなす技術などが登場するため、最新技術のキャッチアップが必要です。
こうした最新技術は、知ることも重要ですが、積極的に手を動かして学び、実績を積む必要があります。これは、転職においては実績や経験が重視されるためです。行動を起こし、実績を積むように意識しましょう。
バックエンドの技術を身につけておく
フロントエンドエンジニアはフロントの技術に精通していればいいと考えるでしょう。もちろん、技術を極める方向性は、選択肢としてありです。しかし、転職を考えると、バックエンドの技術を身につけることも検討してください。
キャリアパスを考える上で、全体的な知識を持っていることは重要です。サーバーやネットワークなどのバックエンドを理解することで、質の高い開発ができたり、フロントエンドエンジニアのリーダーとしてバックエンドエンジニアとの連携を担当するなど、より上位の職に就くことも可能になります。
キャリアパスを描く際に、大切なことは将来を見据えて行動することです。今後、フロントエンドエンジニアが飽和状態になった時に、別の選択肢を持っていることで、有利になるといえるでしょう。
フロントエンドエンジニアからキャリアアップやスキルアップのためにおすすめの職種
エンジニアとして生きていくためには、キャリアアップやスキルアップを考えていくことが重要です。将来的に年収を上げたい、キャリアアップしていきたいと考えている方にとって、どのような選択肢があるのかを理解しておきましょう。
フロントエンドの業務にも関わるバックエンドエンジニア
フロントエンドの技術はどんどん進化しています。例えば、以前はブラウザでしか動かなかったJavaScriptがサーバーでも動かせるようになったり、JavaScriptのみで、フロントエンドもバックエンドも解決する、フレームワークが登場したり、といったことが挙げられます。
今後、フロントエンドエンジニアとして、UIを設計したり制作したりするだけでは、突出することができなくなるでしょう。そのために、バックエンドの技術を習得し、フルスタックエンジニアの道を開拓することも一つの選択です。
Webアプリケーション開発の需要は、今後も期待できるため、フロントエンドもバックエンドもできるのは、エンジニアとしての市場価値を高める要素となるでしょう。
複数プラットフォームに対応できるスマートフォンアプリエンジニア
フロントエンドエンジニアのキャリアアップで注目するべき技術としては、JavaScriptフレームワークの進化が挙げられます。
従来、スマートフォンアプリの開発は、JavaやSwiftなどのサーバーサイド言語で行うのが一般的でした。しかし、現在はReact NativeなどJavaScriptのライブラリが発達し、JavaScriptで作ったアプリケーションが、スマートフォンアプリで動作することも珍しくありません。
JavaScriptはフロントエンドエンジニアが得意とする言語です。他のエンジニアと比較して低い学習コストで、スマートフォンアプリ開発が学べるのは強みと言えます。スマートフォンアプリのエンジニアは需要もあり、今後も伸びていく職種です。需要を見越して学習するのも良いでしょう。
チームを引っ張っていくリーダー職
企業においてプロジェクトを引っ張っていくのは、プロジェクトリーダーやリードエンジニアという存在です。技術面で自信が付いたら、こうしたプロジェクトを引っ張っていく存在になり技術面でチームを牽引するのもキャリアパスの一つです。
また、技術面だけではなく、より上流の工程をこなす存在として、プロジェクトリーダーの役割を視野に入れることも重要です。これは、顧客折衝やプロジェクトの進捗を管理するなど、将来的にプロジェクトマネージャーを目指す立場になることを見越したプランです。
一生最前線も良いですが、責任ある立場になることも選択肢の一つにしましょう。
キャリア向上を望むならWebディレクターも
フロントエンドエンジニアとして、順当なキャリアアップを望むのであればWebディレクターの道もあります。Webサイト開発の進行管理や、プロジェクトの立案から顧客への提案、マネジメントなどを行うことが主な業務です。
フロントエンドエンジニアの技術力だけではなく、顧客とのコミュニケーションなど、必要なスキルは増えていきます。しかし、フロントエンドエンジニアに関わりつつ、順当なキャリアアップを望むのであれば、Webディレクターが良いでしょう。
より上流の工程に関わっていくため、マネジメントスキルが必要になります。資格取得や学習を行い、計画的にキャリアアップしていくのが大切です。
フロントエンドエンジニアに求められるスキル・資格
今後、フロントエンドエンジニアに求められていくスキルや資格について。スマートフォンの普及や、日々変化する技術の中で、重要な要素を3つ紹介していきます。
JavaScript関連のフレームワークに関する知識
JavaScriptのフレームワークは、「React」「Vue.js」「Angular」など、多彩に存在しています。それらに対して、実績や知識を持っていることで、フロントエンドエンジニアとしての価値を上げることができます。
フレームワークを使わない開発は、今後減っていくと考えられます。これは、昔のWebサイトやWebアプリケーションのような、シンプルな画面や動きではなくなったというだけでなく、開発工数、管理やメンテナンスの工数などを総合的に見て、従来の開発手法よりも優れていると判断されているためです。
技術やパッケージ管理に関するスキル
フロントエンドエンジニアだけではありませんが、特にフロントエンドの技術更新は、めざましいものがあります。そのため、日々変化するバージョンアップに対して、知見を持っておくこと、アンテナを張ることが重要です。
また、開発メンバー同士で、別のバージョンを利用していたなどの混乱を防ぐため、パッケージ管理など、利用するフレームワークや環境のバージョン管理は必須の知識となってきています。パッケージ管理に関するスキルは、必ず習得しておくことをおすすめします。
PMとしての活動も視野に入れたPMPの認定資格
プロジェクトマネジメントを行うのは、リーダーの役目と考えがちですが、将来的にPMになると考えている場合は、早めの行動が必要です。これは、PMPの認定資格の条件で、PMとして活動した実績の時間が必要になるためです。
数千時間単位で実績を作る必要があるため、リーダーではなくともサブリーダーや、マネジメントに関わるような立ち回りをすることが良いでしょう。
将来的に上流工程に関わることを視野にいれ、PMPの認定資格が取れるように、早い段階でプロジェクトマネジメントに関する知識を取り入れることが重要です。
フロントエンドエンジニアにおすすめの転職サイト・転職エージェント
フロントエンドエンジニアに転職する場合に、おすすめの転職サイトや転職エージェントを理解しておきましょう。エージェントごとに、特徴や求人の質などにも違いがあります。
そのため、フロントエンドエンジニアにおすすめの転職サイトを確認しましょう。
レバテックキャリア
総合評価 | 81.1点 |
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カウンセリングの質 | 17点 |
提案された求人の数 | 15.6点 |
提案された求人の質 | 15.4点 |
転職活動のアドバイス力 | 16.3点 |
企業との交渉力 | 16.8点 |
特徴 | ・ITエンジニア特化で15年、技術と市場を知り尽くしたアドバイザー ・初回の提案での内定率は90%、決してズレのないマッチング精度 ・最速1週間での内定実績、マンツーマンで徹底的にサポート |
★転職のプロの評価
エンジニアの転職エージェントとしては実績が高いエージェントです。登録時に自分自身のキャリアの棚卸しがしっかり出来ていて、そのキャリアに自分自身が自信を持っている方向け。またエンジニアのキャリアアップとしての非公開求人も多く保有しています。だからこそキャリアに自信がないと厳しい面も出てきます。
リクルートエージェント
総合評価 | 80.9点 |
---|---|
カウンセリングの質 | 16.1点 |
提案された求人の数 | 16.9点 |
提案された求人の質 | 15.6点 |
転職活動のアドバイス力 | 16.8点 |
企業との交渉力 | 15.5点 |
特徴 | ・業界トップクラスの求人数、業界最大級の非公開求人数 ・実績豊富なアドバイザーが、お客様の希望やスキルに沿った求人を厳選 ・提出書類の添削、面接対策、独自に分析した業界・企業情報の提供など充実した転職サポート |
★転職のプロの評価
大手なのでリクルートエージェントに求人を出す企業は財務体制もしっかりしている企業です。求人数は圧倒的に多く求人の紹介から面接対策、年収の交渉まで全てサポートを受けられるのが売りです。転職するにはとりあえず登録しておくエージェントです。送られてくる求人数が多いので、自分の市場価値の確認にもなります。初めて転職する人にはある程度自分の適正年収も把握出来るようになります。
マイナビ ITエージェント
総合評価 | 80.8点 |
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カウンセリングの質 | 17.2点 |
提案された求人の数 | 16点 |
提案された求人の質 | 15.6点 |
転職活動のアドバイス力 | 17.2点 |
企業との交渉力 | 14.8 |
特徴 | ・IT・Web業界の転職事情に詳しいキャリアアドバイザー ・応募書類の添削や⾯接⽇程調整など代⾏ ・あなたのご希望に合わせた求⼈ご紹介 |
★転職のプロの評価
マイナビエージェントが運営するITエンジニアに特化した転職エージェント。この会社のアドバイザーはもともとITやWeb業界の方が多く、そのサポートが丁寧という噂がとても多いです。エージェントの規模としてはリクルートエージェント同様とても大きいので、リクルートエージェント同様とりあえずまずは登録しておいた方が良いエージェントの一つです。
doda
総合評価 | 76.4点 |
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カウンセリングの質 | 15.2点 |
提案された求人の数 | 16.4点 |
提案された求人の質 | 15.2点 |
転職活動のアドバイス力 | 14.4点 |
企業との交渉力 | 15.2点 |
特徴 | ・業界最大級の求人数 ・各専門スタッフがプロの視点でサポート ・面接の日程調整代行 ・書類・面接の対策や手続きサポート ・地方や海外転職にも有利 |
★転職のプロの評価
dodaが他の転職エージェントと違うところは、転職の時に必ず必要になる履歴書や職務経歴書、いわゆるレジュメの作成ツールやサンプルがとても豊富に用意されているというところ。それ以外にも合格診断や年収査定なども気軽に行うことができます。求人数が多いエージェントであるには変わりないので登録するときに少し工夫をしてでも登録をしておくべきエージェントではあります。
Tech Stars Agent
総合評価 | 74.8点 |
---|---|
カウンセリングの質 | 16.4点 |
提案された求人の数 | 13.2点 |
提案された求人の質 | 14.8点 |
転職活動のアドバイス力 | 14.8点 |
企業との交渉力 | 15.6点 |
特徴 | ・IT/Web/ゲーム業界の「エンジニア」に特化 ・コンサルタントは業界経験者のみ、経験豊富なアドバイザー ・お取引社数700社以上、豊富な紹介企業数 ・入社後短期離職率1%以下 |
★転職のプロの評価
TechStarsAgentのコンサルタントはこの道の経験者と言うのが強みの一つ。IT系はやってきた自分自身も、正確にはどこに分類されるかわからないことも多いので、コンサルタントが経験者だと、応募者も安心して相談ができます。ここはとても大きなポイントです。
フロントエンドエンジニアの将来性を見据えて企業へ転職しよう
フロントエンドエンジニアの将来は、学習する内容によって多岐に分かれます。
そのため、ライバルよりも価値を高めるスキルが必要です。まずはフロントエンドエンジニアとして将来どうなっていきたいのか、それを明確にする必要があります。基本的な技術だけでは差別化することができません。
早い段階で、将来を考えることで、キャリアパスにそって学習することができます。結果的に、転職に有利になるでしょう。入りたい企業を明確にするためにも、将来性を見据えて、今から行動することをおすすめします。
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監修・編集:山崎 好史(やまざき よしふみ)
サクラサクマーケティング執行役員 CTO
株式会社CSK(現株式会社SCSK)にて保守運用マネージャとして活躍後、独学でプログラミングおよびSEOを学び、サクラサクマーケティングの前身である株式会社ブルトアに入社。SEOの知識と技術力を生かして主にSEOにおけるツール開発、R&Dなどを進め、中核事業に成長させる。現在はエンジニア以外にシステム運用チーム、コンテンツマーケティングチームも合わせて取りまとめ、プロダクト全般を統括中。
コメント:海老澤 宏(えびさわ ひろし)
株式会社キャリアゲート代表取締役
派遣のエンジニアとして約 30 年間 15 箇所の派遣先で機械設計エンジニアとして勤務。エンジニアの最後には新卒の導入研修の講師として 200 名以上を担当。研修のメインはキ ャリア開発。その後エンジニアの採用担当者として、月に20回以上、面接官として面接を実施。 退職後自身で職業紹介事業、キャリアカウンセリングで会社を設立し、現在はエンジニアの経験、採用部門での経験を生かしキャリアカウンセリングやコーチング、職業紹介のサポートなどをメインに活動中。
執筆者:スギヤマコウジ(杉山晃司)
工学系大学院を卒業。IT企業にて約3年アプリケーション開発やPLを担当。転職し、大手ベンチャー企業で2年間SIerとして従事。業務だけではなく資格取得に専念し、退職。2021年現在は転職やITソリューションの解説、金融関連を中心に執筆。経験を通じ、読む人に必要な情報を届ける。フリーWebライター。