フリーランスエンジニアが案件を獲得するには、大きく分けてサービスやツールを活用する方法、営業をかけて獲得する方法、案件を紹介してもらう方法の3種類があります。
営業をかけたり紹介を受けるのも大切ではありますが、案件獲得の専用サービスやツールを使うことで、案件獲得のための時間を最小限にすることができます。
このページでは、フリーランスエンジニアが案件を獲得する6つの方法と、エンジニアからの評価が高いおすすめのサービスをご紹介します。
フリーランスエンジニアの案件獲得方法6選
フリーランスエンジニアが案件を獲得するには、主に以下の6つの方法があります。
- フリーランスエージェントから案件を紹介してもらう
- 求人サイトで業務委託案件を探す
- クラウドソーシングで案件を探す
- ビジネス系SNS・マッチングアプリで交流を持つ
- 企業に直接営業をかける
- 知人から紹介を受ける
それぞれに違った特徴があるため、仕事の仕方やプライベートとの両立など、自分が重視したい点を基準に選ぶとよいでしょう。
1.フリーランスエージェントから案件を紹介してもらう
フリーランスエージェントとは、エンジニアやデザイナーなどに案件を紹介するエージェントサービスです。基本料金は無料で、案件に参画した場合に仲介手数料が発生する仕組みになっています。
スキルや希望の働き方などを登録することで、希望に沿った案件を紹介してもらえます。エンジニアの代わりに開発案件の営業活動をしてくれるため、エンジニアは開発業務に専念できるのがメリットです。単価や期間などの待遇の交渉や、福利厚生の提供、請求書などの事務手続きも代行してもらえます。
エージェント側で審査したクライアントの案件が掲載されているため信頼度も高いです。また案件が豊富なので安定して受注できるようになるでしょう。
ここでは人気の高いエージェント2種類を見ていきましょう。
レバテックフリーランス
取引企業数5,000社以上、契約更新率90%超を誇る、IT・Web系のフリーランスエンジニア向けサービスです。業界でもトップクラスの案件数を保有しているため、個人で獲得が難しい案件でも紹介してもらえる可能性が高いでしょう。
最新の業界動向や技術情報を教えてもらえるほか、現場の情報にも精通したコーディネーターが希望に合致する案件を提案してくれます。スキルや経験、キャリアプランの希望など詳しいヒアリングが行われるため、安心して仕事探しを任せられるでしょう。
レバテックフリーランスの特徴
・業界トップクラスの取引企業数で、案件獲得に繋がりやすい
・IT業界のトレンドに熟知したカウンセラーによるヒアリングを実施
・充実した福利厚生サービスで、仕事面からプライベートまで安心
PE-BANK
30年以上の実績を誇る、フリーランスエンジニア専門のエージェントです。1,000社以上の企業、50,000件を超える案件を常に取り扱っています。
営業担当者が一貫して案件紹介から契約後の対応までサポートしてくれます。エンジニア側の希望を反映してくれやすいのも特徴。「仕事の幅を広げたい」「仕事とプライベートを両立させたい」など、働き方にこだわりたい人におすすめのエージェントです。
他にも開発やデザインなどのソフトウェアのライセンスが割引価格で購入できたり、全国の各拠点で勉強会が開催されていたりと、スキルアップしやすい環境が整備されているのもメリットでしょう。
PE-BANKの特徴
・仲介手数料が「報酬額の8~12%」と比較的低い
・事務代行サービスで、面倒な書類関連の手続きを任せられる
・IT技術や英語などの資格取得の受験料を、最大全額補助
2.求人サイトで業務委託案件を探す
求人サイトで業務委託の求人を探すのも一つの手です。「まずは自分で良い案件がないか探したい」というフリーランスエンジニアにおすすめします。
求人サイトなら「職種未経験歓迎」「学歴不問」など複数のカテゴリのなかから、自分がこだわっている条件で検索できます。またテーマ別に求人特集が組まれている場合もあり、今どんな求人に注目が集まっているのかなど業界の動向を探ることも可能です。
フリーランスエンジニア向けの求人サイトは、エージェントサービスも提供していることがほとんどです。そのため、なかなか希望の案件が見つけられない場合はエージェントの利用にシフトするのもよいでしょう。
dodaエンジニア IT
30,000件以上の豊富な求人を扱っている求人サイトです。
検索時には「人気のキーワード」「開発言語」「職種」など分かりやすく分類されており、希望条件に合った求人を簡単に探せます。「アジャイル開発をしたい」「クラウド環境を構築したい」といったように、挑戦したい業務があるフリーランスエンジニアにおすすめです。
「dodaエンジニア IT」の特徴
・大手からスタートアップまで成長企業の求人を豊富に扱っている
・言語や業務内容で検索できるため、目的の求人を見つけやすい
・職務経歴書も専用ツールで簡単に作成できる
Webist
大手や有名企業を中心に、3,000社以上の企業と取引している求人サイトです。
WebやIT業界などで実際に活躍している企業のコラムが掲載されており、技術情報や最新ニュースをすぐに確認できます。仕事探しやキャリアプラン作成に役立つでしょう。
検索するときにはライフスタイルに合わせた働き方を選べます。なかには週1~の希少な求人もあるので、こまめにチェックすることをおすすめします。
「Webist」の特徴
・大手や有名企業3,000社の求人から探せる
・業界で活躍中の企業の情報を収集可能
・詳細な条件検索で働きやすい案件が見つかる
3.クラウドソーシングで案件を探す
フリーランスエンジニア初心者のうちはクラウドソーシングを使うと手軽に案件を獲得できます。自分のスキルで対応できそうな案件に積極的に応募してみましょう。
クラウドソーシングでは仕事の募集に対して、自分の実績やスキルで実現できることを説明し提案します。そして提案が通れば仕事を受注できるという仕組みです。主体的に選べるので、自分の専門性を高めたいフリーランスエンジニアにおすすめの方法といえます。
案件は在宅ワークが可能なことがほとんどなので、インターネット環境があればどこでも作業できます。始めたばかりの頃は評価がゼロのため応募しても選ばれない可能性もありますが、実績を積み重ねていくことで単価の高い案件も受注できるようになるでしょう。
Lancers
5,000件以上の案件から自分の気になる仕事を見つけられるクラウドソーシングサービス。小規模のスポット案件から、中長期の高単価案件も取り揃えているのが特徴です。
案件によってさまざまな言語を扱っており、Python、java、php、Perlなど自分の得意な言語を選ぶことができます。
また発注者が仮入金してから仕事を開始できるシステムなので、納品物だけを持ち逃げされるリスクもありません。
Lancersの特徴
・言語や開発環境など気になる案件に挑戦できる
・24時間365日体制のサポート窓口で安心対応
・発注者の情報や評価を事前確認でき、トラブルを防げる
CrowdWorks
Webサービス開発やアプリ開発、コーディングなど、常時数百件の仕事を募集しているサービスです。
募集案件は非常駐案件がほとんどで、稼働時間帯が自由だったり、打ち合わせがすべてオンラインで完結する案件も多くあります。自分のペースで働ける案件を獲得したいエンジニアにおすすめです。
なかには報酬5~20万円のスポット案件や、開発日数1日~2週間程度の仕事もあります。抱えている案件が急に終了したときや、数日間だけ手が空いたときにさっと仕事を探すことも可能です。
CrowdWorksの特徴
・スポット案件が豊富で合間に着手しやすい
・非常駐案件が多いので自分の好きな時間帯に働ける
・保有スキルに合った案件を簡単に検索できる
また、クラウドワークスでは、フリーランスのリモート求人情報のみを扱っているクラウドテックというサービスも行っています。エンジニア案件が多数募集されていますので、こちらも要チェックです。
4.ビジネス系SNS・マッチングアプリで交流を持つ
ビジネス系SNSやマッチングアプリを上手く活用することで、案件獲得の可能性がぐんと高まります。
SNSやマッチングアプリなら、空き時間などを使って気軽にビジネス関係の知り合いを構築可能です。普段は仕事で関わることのない異業種のビジネスパーソンと、効率的に交流を持てるでしょう。
またSNSやマッチングアプリの利用者は世界中にいるため、今まで出会ったことのない人材と知り合うことができ、新しい価値観やビジョンが生まれやすくなります。そこから業務に取り入れて新規サービスを生み出したり、仲を深めた相手から案件の誘いを受けたりする可能性もあるでしょう。
ここでは2種類のツールをご紹介します。
世界最大のビジネス系SNSで、200以上の国と地域に7億7400人の利用者がいます。プロフィールを充実させることで同じ分野の人と繋がりやすくなるため、営業や人脈作りに役立つでしょう。
また「LinkedInラーニング」サービスを利用すれば17,200件以上のコースを受講できます。プログラミング言語からビジネス戦略まで幅広いジャンルのコースが用意されているため、キャリアアップを目指すことが可能です。
LinkedInの特徴
・世界中のビジネスパーソンと繋がりを構築できる
・同じIT業界の企業や個人と知り合い、案件獲得を目指せる
・ラーニングサービスで隙間時間にスキル取得
Yenta
人工知能を活用したビジネス系マッチングアプリです。仕事を発注したい人と受注したい人を繋げるため、コネがゼロの状態でも対人営業が可能。累計マッチング数は300万件以上なので、人脈作りで案件獲得を目指したいフリーランスエンジニアにおすすめの方法です。
毎日10人のプロフィールが届き、簡単操作でお互いに興味を持った者同士がマッチングします。その後メッセージのやり取りができるので、双方のビジョンがマッチすれば新しいビジネスに携われる可能性も生まれます。
Yentaの特徴
・組織の枠を超えて、さまざまな業界の人と繋がりを作れる
・レコメンド機能で毎日最大10人とマッチングが可能
・スキルやビジョンが合致すれば採用や案件獲得を目指せる
5.企業に直接営業をかける
企業のコーポレートサイトに設置された問い合わせフォームから直接営業するのも一つの手です。
正社員や契約社員の形で募集している企業が多いですが、フリーランスエンジニアを求めているところも増えています。実際に「パートナー募集」として外注先やフリーランスを常時募集している開発会社もあります。Googleで「エンジニア パートナー募集」のように検索すると簡単に探し出せるので、業務委託の仕事をもらえるかアクションを起こしてみましょう。
直接コンタクトをする際は営業や提案が欠かせません。自分のスキルや実績をまとめたポートフォリオを準備しておきましょう。事業内容やビジョンなどをしっかり確認し、自分を採用するメリットを明確に説明できるようにしておくと安心です。
6.知人から紹介を受ける
会社員時代の顧客やプライベートの知り合い、友人などから仕事を請ける方法です。
知人や既存のクライアントからの紹介は、好条件や信頼性の高い案件を得るのに役立ちます。付き合いの長い相手なら、自分のスキルや経験にマッチした仕事を紹介してくれる可能性が高いからです。
またお互いの顔や性格を把握していて相手がどんな人物か分かっている分、仕事がスムーズに進めやすくなるのもメリットでしょう。そのためにも、知人とは普段から誠実に接し、紹介したい人材だと思われるようにすることが重要です。
ただし、相手が知り合いだと単価交渉しにくいケースもあるので注意しましょう。適切な報酬を得るためにも、自分ができることや希望報酬を事前に整理しておくことをおすすめします。
エンジニアのスキル・経験次第でおすすめの案件獲得方法は変わる
初心者のフリーランスエンジニアの場合、まずはクラウドソーシングなどで実績を作ることをおすすめします。フリーランスエージェントでは、参画できる案件の取り扱いが少ないことがほとんどだからです。
スキルや経験がないまま営業力だけで案件を取ってしまうと、問題が発生した時に対応できず、炎上案件を作り出してしまう可能性もあります。まずは実績を作りながら、コツコツとスキルと経験を伸ばしていくことを考えましょう。
実績・スキル・経験があるエンジニアの場合は、フリーランスエージェントを利用して案件を探すのがおすすめです。その上でなかなか希望の案件が見つからなければ、次のような方法も試していくとよいでしょう。
- 求人サイトで業務委託の求人を探す
- ビジネス系SNSやマッチングアプリで営業する
- 企業に直接営業する
フリーランスエンジニアは知っておきたい案件獲得のための基礎知識
フリーランスエンジニアとして案件獲得を続けていくには、基礎知識を持っておくことが大切です。契約形態や報酬の相場、売上からどのくらい税金が引かれるかといった知識がないと、予想外のトラブルに発展する可能性もあります。
フリーランスエンジニアの契約形態
フリーランスエンジニアは仕事を受注するときに業務委託契約を結ぶことがほとんどです。業務委託契約には請負契約と準委任契約の2種類があります。
準委任契約
準委任契約とは、成果物ではなく能力や時間を提供することで報酬を受け取る契約形態です。期間内に依頼を受け、その期間中に働いた時間に応じて報酬が支払われます。
請負契約と異なり、成果物を必ず完成させなければならない義務はありません。
なお、クライアントから依頼された業務が法律行為の場合、準委任契約ではなく委任契約になります。委任契約の場合、委任側・受任側の双方がいつでも契約解除可能です。
請負契約
請負契約とは、依頼された成果物を期限内に納品することで報酬を受け取る契約形態です。労働時間自体ではなく、成果物に対して対価が支払われます。
納品した成果物に欠陥があったり、納期を過ぎてしまったりした場合は、報酬なしや違約金が発生することもあります。
またクライアントから指定がない限り、成果物を完成させる方法は問われないケースもあります。信頼関係の上に成り立つ契約といえるでしょう。
受注者側が仕事を完成させる前であれば、発注者は損害賠償すればいつでも契約を解除できます。一方で受注者側は契約解除できないため気をつけましょう。
フリーランスエンジニアの報酬相場
フリーランスエンジニアの報酬相場は職種や契約期間、スキル、実績、開発言語などによって異なります。
月単価の相場は以下を参考にしてみてください。
- プログラマー:50~80万円
- システムエンジニア:60~80万円
- プロジェクトマネージャー:60~80万円
また「Ruby」「Swift」「Go言語」のような人気の言語ほど、案件の単価も80万円以上と高い傾向にあります。
単価の高い案件ほど収入アップが見込めますが、責任が重くなり求められるスキルも高くなります。自分の技術力や仕事スタイルなどを考慮した上で決めることをおすすめします。
フリーランスエンジニアの手取り報酬
フリーランスとして生きていくには、報酬のうちどの程度が手取りになるのかを知っておくべきです。報酬全額が使えると考えていると、税金や社会保険が支払えなくなるといったリスクがあるので注意しましょう。
経費
経費が多いほど所得金額が抑えられて収める税金が少なくなるので、節税の強い味方といえるでしょう。1年間で得た売り上げの合計金額から、必要経費の合計金額を差し引いた「所得金額」を税務署へ申告することで、所得税の納税額が決まります。
経費に含められるか判断するポイントは、仕事に必要なものかどうかです。例えばインターネット代や携帯代、客先への移動費用、業務用デスクなどがあたります。
税金
最も意識する必要があるのは、所得に応じて支払う所得税です。1年間の所得から経費などの控除額を差し引いたものを課税所得として申告し、税率をかけた金額が所得税額となります。そのため経費の計上を忘れないようにしましょう。
また住民税には前年度の所得額に応じて貸される「所得割」と、定額で課される「均等割」の2種類があります。一例として東京都の住民税は以下の通りです。
○所得割
・都民税:4%
・特別区民税:6%
○均等割
・都民税:1,500円
・特別区民税:3,500円
また所得が290万円を超えた場合に事業の種類によって3~5%の税金がかかる個人事業税や、売上が1,000万円を超えた翌年度から課税される消費税もあります。
社会保険
社会保険は主に「健康保険」「国民年金」「国民年金基金」の3種類があります。
国民健康保険とは企業に属していない人が加入する健康保険です。保険料は前年度の所得によって算出されるため、前年度の所得が多かった人や、会社を辞めた人は保険料が高額になる傾向があります。
国民年金は一律同じ金額で、令和3年度の場合は16,610円です。個人事業主になると国民年金への加入が必須なので覚えておきましょう。
国民年金基金は通常の国民年金に加え、任意で加入できる制度です。国民年金に金額を上乗せできるため、年金を増やしたい人は利用を検討してもよいでしょう。
稼いでいるフリーランスエンジニアがしている案件獲得のポイント
収入が途絶えないフリーランスエンジニアになるには、案件獲得するためのポイントをしっかり押さえる必要があります。今日から着手できるような方法もご紹介しますので、ぜひ取り入れてみてください。
継続的に案件がもらえるクライアントを見つける
フリーランスエンジニアとして稼ぐために一番大切なポイントです。継続案件はフリーランスの不安定な生活を支えてくれる柱になります。一度だけで終わる仕事ではなく、継続的に発注してもらえるような仕事を選びましょう。
そのためにはクライアントに「この人になら任せられる」と信頼してもらうことが重要です。例えば次のようなことを地道に行いましょう。
- 一つひとつの作業を丁寧にこなす
- メールや電話にはすぐ応答する
- 納期を絶対に守る
- 手を抜いて品質を下げない
良い仕事ができれば、口コミで他のクライアントを紹介してもらえる可能性もあります。新規案件の獲得に繋がっていくので、全力で取り組むことが重要です。
ポートフォリオを充実させる
ポートフォリオが充実しているほど、クライアントに「この人なら安心して案件を任せられそうだ」と信頼してもらいやすくなります。ポートフォリオは過去の実績やスキルが一目で分かる重要なツールなので、準備しておくに越したことはありません。
例えば以下のような内容を盛り込むことをおすすめします。
- 経歴
- スキル、使用可能ツール
- コンペ受賞歴
- 資格
- 将来のビジョン
- 開発したソフトウェア、プログラムなど
- 開発したアプリのスクリーンショットなど
Web上でポートフォリオを作るときはすぐに内容が理解できるようなデザインにし、定期的にアップデートしましょう。
実績の作り方は、この後の「フリーランスエンジニアの実績の作り方」でご紹介します。あわせてご覧ください。
希望報酬とスキルセットを明確にしておく
希望報酬(いくらでできるか)とスキルセット(なにができるか)をあわせて提示できるようにしておきましょう。
特に価格設定は高すぎても低すぎてもクライアントに不信感を与えてしまいます。まずは他のフリーランスエンジニアがどのくらいの報酬で仕事を受けているのか事前調査しましょう。自分の仕事の相場を把握しておくことで、適切な報酬額を決められます。
その後、それぞれの業務内容にかかる時間を計測し、時給にするといくらになるか計算してください。作業の難易度やスキルなどから希望時給を設定したら、全体的な報酬額を決めましょう。
営業力を磨く
クラウドソーシングや求人サイトを利用する際には営業力が求められます。営業力を高めることで、クライアントの要望をしっかり理解した上で適切な提案をすることが可能になります。結果的に「ぜひこの人に発注したい」と思ってもらいやすくなるでしょう。
営業力を磨くには、まず自分の強みを理解しておくことが重要です。自己分析して「自分ができて他の人にできないことはなにか」などリストアップしておきましょう。自分に依頼することでクライアントが得られるメリットを提示できるようになります。
また案件のヒアリングを丁寧に行うことも重要です。初めにやり取りした段階で依頼することになった背景や業務内容、予算、課題、納期など細かい情報を聞き出します。さらにクライアントの予想を上回る提案をすることで、契約に繋がる可能性が高まるでしょう。
フリーランスエンジニアの実績の作り方
フリーランスエンジニアが実績を作るには主に次の3パターンが挙げられます。経験や技術によってどんな実績の作り方が適しているのか変わってくるため、自分に合った方法を試していきましょう。
エンジニアとして一度就職するのが最も確実
一度エンジニア職として企業に就職するのが最も確実に実績を作れます。
未経験やそれほど実績がないフリーランスエンジニアでは、高額な案件を任せてもらいにくいことがほとんどです。「仕事はたくさんあるのになかなか受注に繋がらない」と焦り、炎上しそうな案件に手を出してしまいかねません。
企業に就職することで迅速に実務経験を積めます。また実務経験があることでフリーランスになったときも企業に信頼してもらいやすくなります。「絶対にフリーランスでやっていく」というこだわりがない限りは就職を考えてみましょう。
就職後はすぐに結果を出そうとせず、1~3年かけてエンジニアとしての実力をつけるつもりで臨むことをおすすめします。
クラウドソーシングで案件を受注する
クラウドソーシングでは大小さまざまな仕事が掲載されています。スキルや経験が足りなくても、まずは簡単な案件からこなして実績を積み重ねていくことが可能です。
また就職・転職活動と違って年齢や経歴も関係なく利用できるのが大きなメリットでしょう。例えばクラウドワークスなら「未経験可」を選ぶことで、未経験でも対応可能な案件が一目で分かるようになっています。
簡単なコーディングやVBAなどの案件なら、初心者や未経験者でも受注できるケースが多くあります。
少しずつ実績を作りつつ、新しい技術を習得してスキルに磨きをかけていくようにしましょう。
個人開発で実際にサービスを作る
個人開発でサービスを作り出すこともおすすめの実績の作り方です。
個人開発なら企画立案、デザイン、実装、リリース後の問い合わせ対応まで一通りの流れを経験できます。チームだと一つのシステムを開発するのに分担することが多いため、関わらない領域も出てくるでしょう。しかし、個人ならすべて自分で手掛けられるので、スキルアップなど得られるものも多くなります。
またマネジメント力も身に付くのがメリット。スムーズに開発を進めるにはどんな順位で作業を進めればいいかなど、プロジェクト全体を見る力や設計力が身につきます。マネジメント力のあるフリーランスエンジニアなら上流工程を任せてもらえる可能性も高くなるので、結果的に収入アップも期待できるでしょう。
フリーランスエンジニアとして稼ぐには「開業届」の提出は必須
個人事業主としてフリーランスエンジニアを始めるなら開業届の提出が義務付けられています。罰則はありませんが、所得控除を受けるためにも開業したら1か月以内に提出しましょう。
青色申告で所得控除を受けられる
開業届とあわせて青色申告承認申請書を税務署に提出することで、所得控除を受けられます。条件を満たせば年間の所得から一定額を差し引かれるため、節税効果を受けやすいです。
青色申告特別控除には65万円と55万円の2種類があり、65万円の控除を受けるにはe-taxによる申告(電子申告)が必要です。複式簿記での記帳になるので難易度は高めですが、フリーランスエンジニアとして長く働くなら覚えておくことをおすすめします。
青色申告承認申請書を提出するタイミングは、1月16日以降に開業した場合は「事業開始日から2ヵ月以内」です。期限を過ぎるとその年の確定申告は白色申告になり、節税効果が低くなってしまうので気をつけましょう。
個人だと案件を受けられない場合も
個人名で仕事をしていると「副業レベルなのではないか」「何が強みなのか分からない」など不安に思われることもあり、案件を受注できないケースもあり得ます。しかし、開業届を出せば屋号をつけられるため、信頼を得やすくなります。
例えば「○○サイトデザイン事務所」「○○システム」のような屋号にすることで、一目で何をやっている人なのか判断がつくでしょう。また屋号名で銀行口座を開設したり、請求書発行の際に屋号を利用できたりするため、ITビジネスをしっかり遂行しているというイメージが伝わります。その結果、フリーランスエンジニアとして信頼され、案件獲得にも繋がるでしょう。
自分の名前で活躍することにこだわっていないなら、屋号を持つことをおすすめします。
まとめ
IT人材不足が懸念されている日本において、フリーランスエンジニアの需要はますます高まっていくでしょう。
フリーランスエンジニアとして案件を獲得するには、エージェントや求人サイト、クラウドソーシング、ビジネス系SNSやマッチングアプリなどが効果的です。初心者や経験者などエンジニアのレベル感でも適した獲得方法が変わってくるため、自分の状況に合ったやり方で実績を積み重ねていきましょう。仕事を継続させるには、契約形態や税金などの基礎知識を身につけておくことも欠かせません。
編集長:山崎 好史(やまさき よしふみ)
サクラサクマーケティング執行役員 CTO
株式会社CSK(現株式会社SCSK)にて保守運用マネージャーとして活躍後、独学でプログラミングおよびSEOを学び、サクラサクマーケティングの前身である株式会社ブルトアに入社。SEOの知識と技術力を生かしておもにSEOにおけるツール開発、R&Dなどを進め、中核事業に成長させる。現在はエンジニア以外にシステム運用チーム、コンテンツマーケティングチームも合わせて取りまとめ、プロダクト全般を統括中。
執筆者:早川舞
フリーランスのWebライター。大学卒業後はIT企業に就職し、システムエンジニアとして6年間従事。「自分らしく生きられる働き方」を目指してWebライターへ転職。IT、介護、害獣駆除、大学入試など幅広いジャンルの記事執筆やディレクションを手掛ける。