転職業界において「エンジニア」は長年に渡って売り手市場が続いており、複数回転職をする人もめずらしくない時代です。
しかし、転職は人生の大きなターニングポイント。「転職に失敗した」「転職しなきゃ良かった」と後悔することがないようにしたいものです。
この記事では転職者のリアルな声を参考にしながら失敗の原因を探りつつ、転職を成功させるためのポイントを解説します。
エンジニアの転職で後悔する3つのポイント
まずはエンジニアの転職でよくある後悔例を3つ紹介します。今まさに転職を後悔しているという方だけでなく、これから転職を考えているという方も、後悔しないためのポイントを理解しておくことが重要です。
本当にやりたい仕事とは異なる仕事内容だった
自分のやりたいことを明確にしないまま転職活動をスタートし、何となく目に留まった求人に応募・転職してしまったケースでよく挙がる失敗例です。
転職を急ぐあまり、最初に内定が出た会社に入社してしまうケースもあります。
また、エンジニアの場合はプログラミングをやりたいと希望していたものの、実際に入ってみたらテスト工程しか任されない、報告書作成やデータ分析といった開発以外の業務が多いなど、やりたい仕事と実際の業務内容にミスマッチがあったケースも多いです。
事前に聞いていたよりも労働環境が悪い
プロジェクトがひっ迫しており終電帰りが続く・土日出社があるなど、面接などで事前に聞いていたよりも残業が多くて早く帰れないというのはよく挙がる後悔例です。特に人手不足が続くエンジニア業界では、いわゆる「ブラック企業」も存在します。面接官だけでなく、実際に働いている社員に一日の流れを聞いてみるなど労働環境を重視するのであれば事前調査が肝心です。
また、職場の人間関係が悪く転職を後悔する人もいます。例えば社員同士の挨拶がなくオフィス内は暗く・どんよりとした雰囲気、他の社員に気軽に質問ができない、質問しても丁寧に対応してもらえないといったケースです。
憧れの仕事に転職したのに、こんなはずじゃなかった
「ずっとやってみたかった仕事」というのはイメージが先行しがちで、業界研究や事前調査が疎かになることも多いです。その結果、実際に入社してみて感じるギャップの大きさから転職を後悔する人がいます。
また、自分の経験やスキルに合致しない転職先に入社したために、仕事についていけない、思ったより活躍できないなどを後悔するケースもあります。どちらのケースも事前に業界・業種・企業、仕事内容に対して十分に下調べをすることが重要です。
エンジニアが転職に失敗する原因
大手転職エージェントである「マイナビ」が実施した調査結果によると、約2割の転職者が転職結果に満足していないと回答しています。多くの転職者が満足いく転職を実現している一方で、転職に失敗したと感じている人はなぜ不満を感じてしまうのでしょうか。
ここからは転職を後悔する原因となる典型例を3つ解説します。
仕事内容の調査が不十分だった
事前に調べたり・聞いたりした仕事内容と異なるケースです。一口に「エンジニア」といっても、企業や部署・プロジェクトなどによって求められる仕事内容は全く異なります。転職を希望する企業には転職前に配属予定先の業務内容をしっかりと確認しておくことが重要です。
特に○○の技術を使った開発をしたい、××のこだわりがある、などの場合は面接官だけでなく、現場で働く社員に話を聞けるようにするとミスマッチが防げます。
なお、入社後に仕事が合わないと感じた場合は上司に相談することで解決することもあります。仕事の仕方を変えてもらえたり、社内の他のプロジェクトで希望する仕事内容ができたり、やりたい仕事ができるように主体的に交渉することも重要です。
待遇を求めすぎた
年収や残業の有無、福利厚生や教育機会など、待遇を求めすぎるあまり後悔するケースもあります。
例えば年収の場合、入社時の年収につられて転職をしたものの年収がステップアップする制度になっていなかったり、実力以上の年収を求めたために自分のスキルと合わず十分に活躍できなかったり、などのケースです。
「ワークライフバランス」や「待遇の良し悪し」は大切な要素ですが、満足度を決めるための要素としては不十分です。
自分のスキルや業務経験をしっかりと分析したうえで、希望する条件に優先順位をつけ、自分の適性・価値観に合う転職先を探すことで後悔を避けることができます。
転職がゴールになってしまった
現在の仕事に不満や不安があり、安直に「転職さえできれば全て問題が解決する」「新しい環境に身を置きたい」と考えてしまうケースです。転職すること自体が目的になってしまうので、自己分析や希望条件の明確化、求人情報の見極めなど基本的な転職活動が疎かになり、入社後に「想像と違った」と転職を後悔することになります。
転職はあくまでも長いキャリアの通過点でなく、ゴールではありません。中長期的な視点で「自分はどのようなキャリアを歩みたいのか」「どのようなことを重視したいのか」などキャリアを深堀することが大切です。
エンジニアの転職で失敗しないために知っておきたいこと
エンジニアの転職を失敗に終わらせないためには以下のようなポイントを押さえておくことが重要です。
ここからは前述した失敗例や原因を踏まえて、転職を成功させるための対策を紹介します。
自己分析を徹底する
まず自己分析は過去の業務経験からスキルを棚卸し、キャリアに対する価値観を明確にします。
特にエンジニアの転職では即戦力となる人材を重要視する傾向があるので、転職をはじめる前に自身のスキルや業務経験を正しく把握し、レベル感のあった企業を選ぶと良いでしょう。
また、転職にあたって何を重視するのかは転職者によっても様々です。仕事内容や年収、人間関係など転職の軸となる要素を洗い出し、譲れない条件に優先順位をつけることが重要です。
自分の市場価値を見極める
次に自分の市場価値を確認します。1社しか経験がない人は、現在の職場の評価が自分の価値だと思ってしまいがちです。
「自分はできる!」と思っていても社内でしか通用しないスキルセットであったり、逆に業務経験は少なくても専門性が高く、社外からの評価が高かったりと、自分の市場価値を正しく認識できていないケースは多くあります。
自分のスキルを客観的に見て、どれくらいの市場価値があるのか、希望する業界・業種はどれくらいの求人があるのかを知っておくことは大切です。
とはいえ、自分一人で市場価値を確認するのは困難なので、転職エージェントや友人・知人などと相談しながら第三者からの「見え方」を確認するのが良いでしょう。
本当に転職が必要なのかを再検討する
転職しても今抱える悩みや問題が解決するとは限りません。今の状況から抜け出すことだけを優先してしまうと、結局転職先でも同じような不満を抱えてしまうことがあります。
今の職場で解決できない問題なのかどうか、転職する必要があるのかを改めて冷静に考えてみましょう。
例えば「自分のやりたいことができない」と業務内容を理由に転職を考えている場合、自分に足りない能力やスキルを分析しスキルアップを図ることで少しずつ仕事を任せてもらえることも多いものです。
上司や同僚ともコミュニケーションを取りながら求められる仕事をこなしていくうちに現在の仕事に充実感や「やりがい」を感じられれば、早急な転職は必要ありません。
また、転職したいと思った原因は裏を返すと「転職先に求める条件」になります。
落ち着いて再検討した結果に転職を決断したのであれば、自分が転職を思い立った原因を分析・言語化し、理想とする転職を実現するための材料にしましょう。
転職市場で価値の高いエンジニアのスキル
市場価値が高いエンジニアは即戦力として活躍できるため、どの企業でも重宝される傾向があります。年収アップやキャリアアップを狙う場合は市場価値を意識した転職活動・スキルアップすることが重要です。
市場価値は一般的に市場価値が高いエンジニアには以下のような特徴があります。
- インフラからクライアントサイドまで担当できる(フルスタック型)
- ヒト、モノ、カネを操り高いシナジー効果を発揮できる(マネジメント型)
- 専門領域および、その周辺知識を熟知しているスペシャリスト(T型・I型)
市場価値はトレンドに左右されるところも多いですが、上記の3つは普遍的に市場価値が高くなりやすい特徴です。
また近年は多くの企業でAI(人工知能)やIoT、クラウドなど先端技術の利活用が進んでいます。これらの知識・スキルを習得済みで業務に活用できるエンジニアは入社後に活躍できる可能性が高まるでしょう。
エンジニアにおすすめの転職サイト・転職エージェント
エンジニアが転職する場合、ひとりで転職活動を進めることも可能ですが、転職エージェントなど専門家の力を借りるのが効果的です。
業界の転職事情にも明るく、多くの転職者をサポートしてきた実績・ノウハウで有益なアドバイスを受けられます。ここからは、エンジニアのおすすめ転職エージェントを3つ紹介します。
レバテックキャリア
総合評価 | 81.1点 |
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カウンセリングの質 | 17点 |
提案された求人の数 | 15.6点 |
提案された求人の質 | 15.4点 |
転職活動のアドバイス力 | 16.3点 |
企業との交渉力 | 16.8点 |
特徴 | ・ITエンジニア特化で15年、技術と市場を知り尽くしたアドバイザー ・初回の提案での内定率は90%、決してズレのないマッチング精度 ・最速1週間での内定実績、マンツーマンで徹底的にサポート |
★転職のプロの評価
エンジニアの転職エージェントとしては実績が高いエージェントです。登録時に自分自身のキャリアの棚卸しがしっかり出来ていて、そのキャリアに自分自身が自信を持っている方向け。またエンジニアのキャリアアップとしての非公開求人も多く保有しています。だからこそキャリアに自信がないと厳しい面も出てきます。
リクルートエージェント
総合評価 | 80.9点 |
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カウンセリングの質 | 16.1点 |
提案された求人の数 | 16.9点 |
提案された求人の質 | 15.6点 |
転職活動のアドバイス力 | 16.8点 |
企業との交渉力 | 15.5点 |
特徴 | ・業界トップクラスの求人数、業界最大級の非公開求人数 ・実績豊富なアドバイザーが、お客様の希望やスキルに沿った求人を厳選 ・提出書類の添削、面接対策、独自に分析した業界・企業情報の提供など充実した転職サポート |
★転職のプロの評価
大手なのでリクルートエージェントに求人を出す企業は財務体制もしっかりしている企業です。求人数は圧倒的に多く求人の紹介から面接対策、年収の交渉まで全てサポートを受けられるのが売りです。転職するにはとりあえず登録しておくエージェントです。送られてくる求人数が多いので、自分の市場価値の確認にもなります。初めて転職する人にはある程度自分の適正年収も把握出来るようになります。
マイナビ ITエージェント
総合評価 | 80.8点 |
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カウンセリングの質 | 17.2点 |
提案された求人の数 | 16点 |
提案された求人の質 | 15.6点 |
転職活動のアドバイス力 | 17.2点 |
企業との交渉力 | 14.8 |
特徴 | ・IT・Web業界の転職事情に詳しいキャリアアドバイザー ・応募書類の添削や⾯接⽇程調整など代⾏ ・あなたのご希望に合わせた求⼈ご紹介 |
★転職のプロの評価
マイナビエージェントが運営するITエンジニアに特化した転職エージェント。この会社のアドバイザーはもともとITやWeb業界の方が多く、そのサポートが丁寧という噂がとても多いです。エージェントの規模としてはリクルートエージェント同様とても大きいので、リクルートエージェント同様とりあえずまずは登録しておいた方が良いエージェントの一つです。
doda
総合評価 | 76.4点 |
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カウンセリングの質 | 15.2点 |
提案された求人の数 | 16.4点 |
提案された求人の質 | 15.2点 |
転職活動のアドバイス力 | 14.4点 |
企業との交渉力 | 15.2点 |
特徴 | ・業界最大級の求人数 ・各専門スタッフがプロの視点でサポート ・面接の日程調整代行 ・書類・面接の対策や手続きサポート ・地方や海外転職にも有利 |
★転職のプロの評価
dodaが他の転職エージェントと違うところは、転職の時に必ず必要になる履歴書や職務経歴書、いわゆるレジュメの作成ツールやサンプルがとても豊富に用意されているというところ。それ以外にも合格診断や年収査定なども気軽に行うことができます。求人数が多いエージェントであるには変わりないので登録するときに少し工夫をしてでも登録をしておくべきエージェントではあります。
Tech Stars Agent
総合評価 | 74.8点 |
---|---|
カウンセリングの質 | 16.4点 |
提案された求人の数 | 13.2点 |
提案された求人の質 | 14.8点 |
転職活動のアドバイス力 | 14.8点 |
企業との交渉力 | 15.6点 |
特徴 | ・IT/Web/ゲーム業界の「エンジニア」に特化 ・コンサルタントは業界経験者のみ、経験豊富なアドバイザー ・お取引社数700社以上、豊富な紹介企業数 ・入社後短期離職率1%以下 |
★転職のプロの評価
TechStarsAgentのコンサルタントはこの道の経験者と言うのが強みの一つ。IT系はやってきた自分自身も、正確にはどこに分類されるかわからないことも多いので、コンサルタントが経験者だと、応募者も安心して相談ができます。ここはとても大きなポイントです。
自分らしい転職を成功させよう
エンジニアにとって「転職」は決してめずらしいものではなく、近年ではスキルアップやキャリアアップのために当たり前の選択肢です。ただ、安易に転職活動をスタートしてしまうと失敗するリスクは高まり、逆にキャリアの大きな損失に繋がりかねません。
この記事で紹介した失敗事例や原因を反面教師にして、自分らしく満足のいく転職活動を進めてみましょう。
監修者:海老澤 宏(えびさわ ひろし)
株式会社キャリアゲート代表取締役
派遣のエンジニアとして約30年間15箇所の派遣先で機械設計エンジニアとして勤務。エンジニアの最後には新卒の導入研修の講師として200名以上を担当。研修のメインはキャリア開発。その後エンジニアの採用担当者として、月に20回以上、面接官として面接を実施。退職後自身で職業紹介事業、キャリアカウンセリングで会社を設立し、現在はエンジニアの経験、採用部門での経験を生かしキャリアカウンセリングやコーチング、職業紹介のサポートなどをメインに活動中。
編集長:山崎 好史(やまさき よしふみ)
サクラサクマーケティング執行役員 CTO
株式会社CSK(現株式会社SCSK)にて保守運用マネージャーとして活躍後、独学でプログラミングおよびSEOを学び、サクラサクマーケティングの前身である株式会社ブルトアに入社。SEOの知識と技術力を生かしておもにSEOにおけるツール開発、R&Dなどを進め、中核事業に成長させる。現在はエンジニア以外にシステム運用チーム、コンテンツマーケティングチームも合わせて取りまとめ、プロダクト全般を統括中。
執筆者:綿野まりこ
国内通信事業者のシステムエンジニアとして、AIや5G、IoTといった最新技術に触れながら多数の業務アプリ開発やプロジェクトマネジメント業務に従事。現在は現役エンジニア&IT系ライターとして活動中。自身の経験や業界情報を交えて、開発ノウハウの解説や転職関連記事などエンジニア向けの記事を中心に執筆している。