App Indexing というと、何を思い浮かべるでしょうか。
漠然と、アプリを検索結果に表示するアレ、と思っている方もいらっしゃるかも知れません。
本稿では、「Firebase」と呼ばれる、Googleのモバイルアプリのためのクラウドプラットフォームに統合されたApp Indexing (正式名称「Firebase App Indexing」)について、どんな機能で、どのようなメリットがあるのかなどの基本的な知識について2回にわけて解説していきます。
第1回の本稿では、「そもそも App Indexing でどこがどう変化するのか」についてスクリーンショットを交えて、解説致します。
Firebase App Indexing とは
まずは App Indexing がどんなものであるかについて、わかりやすい1文がありましたので、引用させていただきます。
“ユーザーが Google でモバイルアプリの関連コンテンツを検索すると、検索結果のオプションから直接アプリを起動できるようになります”
http://googledevjp.blogspot.jp/2016/07/firebase-app-indexing.html
App Indexing とはつまりは、検索結果とアプリを直接結びつける機能と言うことになります。
では、検索結果から直接アプリを起動するというのは、どのように動作するのでしょうか。ここからは、いくつかサンプルを用いて実際に見ていきたいと思います。
まずは、あるキーワードにおける、アプリインストール前の検索結果がこちらです。
※Android6.0の Chrome にて、アプリ未インストール、Googleアカウントにはログインした状態で検索しています。
ご覧の通りごく普通の検索結果ですが、対応するアプリをインストールするとこれが変化します。以下、対応アプリをインストール後の検索結果です。
※Android6.0 の Chrome にて、アプリインストール状態、Googleアカウントにはログインした状態で検索しています。
アイコンがつき、URLの部分が「【アプリ名】」となっています。
この検索結果をタップすると、アプリが起動して、アプリの該当画面が表示されるようになります。
※検索結果の「【ドメイン名】 で開く」をタップすることで、アプリではなくサイトにアクセスすることも可能です。
App Indexing を実装すると、このように検索結果が変化しアイコンなどが表示され、検索結果にアプリの導線が追加されます。
App Indexing はいつ発動するか検証
App Indexing の機能について簡単な例を挙げましたが、このサンプルは、「
Android6.0 Chromeで、Googleアカウントにログイン済」という設定でした。
では他の場合はどうなるでしょうか。ここからは、Chrome以外のブラウザは?Googleアカウントにログインしていなかった場合は?iphoneの場合は?など、想定されるものについていくつか検証してみたいと思います。
Androidのパターン
Android6.0、Googleアプリ、対象アプリインストール済、Googleアカウントログイン済の場合
⇒混乱するかもしれませんが、Googleアプリ
(ホーム画面の検索ウィジェット等)からの検索の場合です。
こちらはインストール時の表記が変わり、「【アプリ名】 アプリ – インストール済み」となっているのが確認できます。
Android6.0、Googleアプリ、対象アプリインストール済、Googleアカウントログアウトの場合
アプリがインストールされている場合、ログイン状態は関係なく App Indexing は発動するようです。
Android6.0、Chrome、対象アプリインストール済、Googleアカウントログアウトの場合
他のブログ等では、こちらも対応しているとのことでしたが、弊社の環境ではインストールされてない状態と同じ形でした。
(スクリーンショット省略)
iOSについて
iOSでも App Indexing の対応は始まっていますが、こちらはAndroidにおける対応とは内部的に異なっており、表示の仕方にも差異があるように感じられます。
まずはアプリ未インストールのSafariを見てみます。
※なお、iOS9の機能(ユニバーサルリンク)を利用するため、iOSの App Indexing はSafari以外では発動しません。そのため今回はSafariでの検証のみ記載します。
iphone、iOS9.3、Safari、アプリ未インストール、Googleアカウントログイン済
ご覧の通り、通常の検索結果となります。
もちろんタップしてもアプリには飛びません。
では、アプリをインストールするとどう変化するでしょうか。
iphone、iOS9.3、Safari、アプリインストール済、Googleアカウントログイン済
表示上はなにも変わらないように見えます。
しかし実はこの検索結果、タップするとアプリに飛ぶようになっています。
※WEBページに飛ぶリンクはなくなります
見た目に変化がありませんが、App Indexing はこのような形で機能しています。
なおスクリーンショットは同様のため省略しますが、
Googleアカウントログアウト状態でも、同様に発動し、アプリに飛ぶようになります。
少し話はそれますが、本来であれば検索結果は下記の形になるはずのようです。
これはGoogleの公式ツールを利用して、検索結果のプレビューを表示したものになります。
https://firebase.google.com/docs/app-indexing/ios/test?hl=ja
デザインについては、日本では未対応の場合もあるため、海外アプリでも試してみましたが、同様の結果でした。反映されている場合とそうでない場合があるようです。
検証結果まとめ
最後に、弊社環境での検証結果を下記にまとめます。
※弊社環境での検証結果です。結果は環境によって変化する場合があります。
Android
Chromeの場合、Googleアカウント ログイン時に発動
Chromeの場合、Googleアカウント ログアウト時は発動なし
Googleアプリの場合、ログイン状態に関係なく発動
発動時は検索結果に変化がでる
発動時はアプリとWEBの両方のリンク
iOS
Googleアカウント ログイン / ログアウト の両方で発動
Safariのみ発動
弊社環境では検索結果の見た目に変化なし
発動時はアプリへのリンクのみになる
App Indexing のメリット
ここまで、どういった場面でApp Indexingが発動するのかみてきました。基本的にかなりバラバラで、まだ挙動が固まりきっていないようにも見えます。
そんな App Indexing ですが、単純にここまで実装しただけでも2つのメリットが生まれます。
ここではそのメリットについてまとめます。
メリット1: 検索結果からアプリにアクセス
App Indexing 最大のメリットになります。インストールされたアプリの75%は、通常は使用されていないと言われていますが、検索結果からアプリに再訪させることで、アプリを再認識させ、残りの25%に変換するチャンスを得ることができます。
ユーザ体験が向上する場合が多いアプリに自然に誘導することで、よりユーザに満足してもらえる可能性が上がるとも言えます。
http://googledevjp.blogspot.jp/2016/07/firebase-app-indexing.html
メリット2: 検索結果で強調表示される
本稿の検証結果からは現状ではAndroidでしか機能していない可能性がありますが、googleの意図するデザインは、通常の検索結果に加えて、アプリアイコン、アプリへの導線、アプリがインストール済みであるという文言など、より強調された形になります。
“App Indexing displays and promotes app results on Google Search, including showing your app icon when it’s installed.”
“App Indexing associates your app and website, so your app install card displays next to your website card.”
https://firebase.google.com/docs/app-indexing/?hl=ja
また、PCよりもモバイル検索のほうが上回っている、40%の検索結果にはアプリの情報が含まれている、という話などから、検索結果で強調されることの意味は日に日に大きくなっていると考えられます。
http://googledevjp.blogspot.jp/2016/07/firebase-app-indexing.html
まとめ
本稿では、 App Indexing について、その機能と見え方を中心に解説してきました。
スマートフォンが普及し、アプリのプレゼンスが上がっていく中で、アプリとWEBとをつなぐ柱としての App Indexing には大きな可能性があると思われます。
第二回ではApp Indexing API などの少し進んだお話と、実際に実装にあたっての少し技術的な部分を解説させていただく予定ですので、よろしければそちらもご確認ください。