実名登録制をベースとしているFacebookで展開できる「Facebook広告」の魅力は、何といってもターゲティング精度の高さでしょう。Facebookは、日本国内だけでも月間およそ2,600万人(2019年3月時点)が利用しているといわれています。この多彩なユーザー群の中でどの層にアプローチしていくかが、広告効果のひとつの分かれ目です。
広告を展開する上で、精度の高さを効果的に活かすターゲティング(オーディエンス設定)方法をお伝えします。
Facebook広告におけるターゲティングの目的と種類
Facebookの最大の特徴は、実名登録制です。プロフィールや交友関係、興味・関心の向きなどを蓄積した信憑性の高いユーザーデータベースによるターゲティング精度は、サービスや商品をプロモーションしたりマーケティングしたりする際にとても魅力的でしょう。
Facebook広告は、Facebookのアルゴリズムを利用して、その広告に関連性が高いと見込まれるユーザーに自動的に配信することも可能です。それに加えて、広告するサービスや商品に出会ってほしいお客様像を設定して、広告のアプローチ先を絞り込むことができます。それがターゲティング(オーディエンス設定)です。オーディエンス選択ツールは、次の3種類が用意されています。
●コアオーディエンス(基本のターゲット設定):
年齢、興味・関心、地域などの条件で広告のアプローチ先を絞り込みます。
●カスタムオーディエンス:
すでにサービスや商品に対してアクションを起こしたユーザーにあらためてアプローチしたいときに設定します。
●類似オーディエンス:
カスタムオーディエンスと共通の興味や関心をもつユーザーにアプローチしたいときに設定します。出会いたいユーザーとの邂逅という効果をFacebook広告に期待するならば、類似オーディエンスをいかに使いこなすかがひとつのポイントになります。
各オーディエンスについて、設定する際のコツを後述しますので、まずは、それぞれでどのようなターゲティングができるのかを把握してください。それを踏まえて、どのオーディエンスをどのように設定すれば自身のサービスや商品のペルソナと合致するか(もしくは近しくなるか)、実現可能な選択肢を検討していくことをおすすめします。
ターゲティング(オーディエンス設定)の前提
Facebook広告は3層構造で、要素は「キャンペーン」「広告セット」「広告」です。
●キャンペーン:ベースとなる層。広告の「目的」を設定します。
●広告セット:中間層。広告の掲載方法(オーディエンス、予算、掲載期間)を設定します。1つのキャンペーンの中に複数の広告セットを作成できます。
●広告:実際に配信される広告コンテンツの層。1つの広告セットの中に複数の広告を作成できます。
ターゲティング(オーディエンス設定)は、このうち「広告セット」を作成する際に設定します。1つの広告セットに対して設定できるオーディエンスは1つのみです。一度作成したオーディエンスは任意の名前を付けて保存し、使い回し可能です。
コアオーディエンス(基本のターゲット)を設定するコツ
コアオーディエンスは、広告セットの編集画面に表示されるターゲットの基本設定です。Facebookが独自に作成したセグメント(地域、年齢、性別、興味・関心など)を選択して設定します。各セグメントは、Facebookに登録しているユーザー情報やWeb上での行動履歴などをインプットデータに構成されており、Facebookのターゲティング精度の高さが評価される所以です。
基本項目
●地域
地域は、国、都道府県、市区町村、郵便番号で絞り込みます。国内だけでなく、全世界(グローバル)や地域名(ヨーロッパ、アジアなど)でも絞り込み可能です。絞り込んだ地域と併せて、ユーザーの属性を次の4つの中から指定します。
この地域に住んでいる人
最近この地域にいた人
この地域に住んでいる人、または最近この地域にいた人
この地域を旅行中の人
●年齢
「13歳」~「65歳以上」の選択肢の中で、1歳刻みで絞り込みができます。
●性別
「すべて」「男性」「女性」から絞り込みができます。
●言語
特定の言語を使うユーザーに絞り込みができます。
●つながり
「Facebookページに『いいね!』した人」「あなたのアプリを使用した人」「イベントに回答した人」などの選択肢から絞り込みができます。
詳細項目(詳細ターゲット設定)
事細かな選択肢から絞り込んだり、絞り込みの除外条件としたりできます。
●利用者層
「学歴」「仕事」「子どもの年齢」など、多彩な属性が選択肢として設けられています。
●興味・関心
「スポーツ」「音楽」「映画」「買い物」「料理」「旅行」「お酒」「仕事関係で知りたいこと」など、多様なカテゴリーが選択肢として設けられています。
●行動
「Facebookの利用デバイス」「通勤者」「Facebookページの管理者」など、さまざまなユーザー行動が選択肢として設けられています。
コアオーディエンス設定のコツ
オーディエンスの絞り込みを行なうと、編集画面の右側に、設定した絞り込み条件におけるオーディエンス(潜在リーチ)のボリュームと、1日にリーチできるオーディエンスの推定値が目安として表示されます。
ボリュームが大きすぎると、どのオーディエンスで広告効果が出ているか、出ていないのか、検証しにくくなります。ボリュームが大きい場合は、基本設定(年齢や性別など)でオーディエンスを分割(広告セットを分割)し、ボリュームを抑えましょう。反対にボリュームが小さすぎても広告効果が出ない(設定したターゲットに響かない)可能性があるので、期待する効果に見合ったオーディエンスボリュームになるように設定することをおすすめします。
カスタムオーディエンスを設定するコツ
すでにサービスや商品に対してアクションを起こしたユーザーに対して、あらためてアプローチしたい(リターゲティングしたい)ときは、カスタムオーディエンスを設定しましょう。
カスタムオーディエンスのインプットデータとしては、自分のビジネスのソースもしくはFacebookのソースを使用します。自分のソースを利用する場合は、顧客情報とFacebookデータベースとを紐付けるわけですが、もちろん、ユーザーのプライバシーはFacebookによって配慮されます。
カスタムオーディエンスの設定は、広告セットの編集画面に表示されるターゲットの設定欄にあるカスタムオーディエンスから>「新規作成」>「カスタムオーディエンス」をクリックして行ないます。
自分のソースを使用
いずれのソースを使用した場合も、Facebookに渡したデータは紐付け処理時に復元できないように暗号化処理が施されるので、Facebook側が任意のタイミングでデータを閲覧・利用することはありません。あらかじめ「カスタムオーディエンス利用規約」を確認し、同意しておく必要があります。
●ウェブサイト
Webサイトに特定のコード(Facebookピクセル)を埋め込むことで、Facebook側でWebサイト訪問者とFacebookユーザーの紐付けを行ないます。
●カスタマーリスト
自分のビジネスの顧客情報(メールアドレス、電話番号など)をFacebookにアップロードして、Facebook側でFacebookユーザーとの紐付けを行ないます。
●アプリアクティビティ
Facebookアプリを起動した人、Facebookアプリ内で特定のアクションを行なった人を抽出します。
●オフラインアクティビティ
店頭や電話などのオフライン環境でやりとりをした人を抽出します。あらかじめ、オフラインイベントセットを作成し、広告アカウントに紐付けておく必要があります。
Facebookのソースを使用
●動画
FacebookやInstagramで動画を再生したユーザーを対象とします。
●Instagramアカウント
Instagramのアカウント(ビジネスアカウント)に訪問履歴があるユーザーを対象とします。
●リード獲得フォーム
リード獲得広告でフォームを開いた履歴があるユーザー、フォーム入力を完了したユーザーを対象とします。
●イベント
イベントページで何らかのアクションを実行した履歴のあるユーザーを対象とします。
●インスタントエクスペリエンス
インスタントエクスペリエンス広告を開いた履歴があるユーザーを対象とします。
●Facebookページ
Facebookページのフォロワーや、何らかのアクションを実行した履歴があるユーザーを対象とします。
●Shopping
FacebookやInstagramで購買履歴のあるユーザーを対象とします。
●Facebook上の出品
Facebookにカタログ登録した製品に対して何らかのアクションを実行した履歴があるユーザーを対象とします。
カスタムオーディエンス設定のコツ
カスタムオーディエンスの設定は、後述する類似オーディエンスのソースとして、高い広告効果が期待できます。例えば、「カスタマーリスト」や「アプリアクティビティ」、「Facebookページ」は同じような興味・関心をもつユーザーに広告が波及することで、新規顧客の獲得に効果的でしょう。
類似オーディエンスを設定するコツ
類似オーディエンスは、作成済みのカスタムオーディエンスなど、ソースとなるオーディエンスを指定して、そのソースオーディエンスに含まれるユーザーとの共通点が多いと判断されたユーザーをターゲティングできるオーディエンス選択ツールです。
類似オーディエンスの設定は、広告セットの編集画面に表示されるターゲットの設定欄にあるカスタムオーディエンスから>「新規作成」>「類似オーディエンス」をクリックして行ないます。
オーディエンスサイズは、1〜10%の間で指定できます。パーセンテージが小さいほど類似度が高く、数字が大きいほどリーチできるユーザーが多くなります。
複数の類似度で類似オーディエンスを作成する際は、広告効果を検証できるように、類似度が重ならないように注意しましょう。例えば、3種類作るのであれば「1%」「1〜2%」「3%」などとすることをおすすめします。
まとめ
Facebook広告のターゲティング(オーディエンス設定)のコツは大きく3つです。
●ターゲティング精度の高さを活かすこと(コアオーディエンスの詳細ターゲット設定、カスタムオーディエンス設定)
●複数のオーディエンスを作成して広告展開する場合は、広告効果の検証できるように、オーディエンス設定内容が重複しないようにすること
●ターゲティングと併せて、広告素材や配置などによる広告効果の検証も行うこと
これらの点を踏まえながら、商品やサービスに出会ってほしい顧客を見出してください。