Googleの検索品質評価ガイドラインとは、Googleが自身の検索エンジンの品質を評価するために、外部の品質評価者に向けて評価方法を説明した資料のことです。
検索品質評価ガイドラインには、Googleがどのようなページを高く評価したいか、が記されているため、SEOに携わる担当者にとっては重要な資料です。
検索品質評価ガイドラインは一般公開されていますが、英語で書かれており日本語には翻訳されていないほか、150ページを超える文書となっており、英語に精通していないと特に読むのは大変です。
ガイドラインの基本的な考え方は変わらないものの、1年に1~数回更新されており、細かい点まで追随するのはなかなか難しいかと思います。
検索品質評価ガイドライン
General Guidelines (Google Search Quality Rating Guidelines) ※英語文書
検索品質評価ガイドラインに書かれている内容は、あまり意外な記述はなく、よい検索結果とはどのようなものかを考えた際に納得できるような評価方針が示されています。
この記事では、検索品質評価ガイドラインからくみ取れるGoogleの意図をぎゅっと要約して、どのようにSEO対策に生かしていけばよいのかを解説いたします。
また、ガイドラインの更新があり次第、更新内容について追記を行っています。どのような更新が行われているのか、ぜひチェックしてみてください。
この記事の内容は、以下2本にわたる動画でも解説していますので併せてご覧ください。
検索品質評価ガイドラインの最重要ポイント
検索品質評価ガイドラインは以下の2つの評価を行うことに終始しています。
- ページの品質
- 検索結果がユーザーニーズを満たしているかどうか
すなわち、検索エンジンのアルゴリズムは高品質でユーザーニーズに合ったコンテンツを上位に表示させたいと考えており、この2点の評価を高めることで、SEOの成果を上げやすくなるのだと考えられます。
ページの品質:E-E-A-TとYMYL
ページの品質を考える上で重要なキーワードがE-E-A-TとYMYLです。
2022年のガイドライン変更によって以前のE-A-TにさらにEが追加されてE-E-A-Tとなりました。
E-E-A-Tとは、検索品質評価ガイドラインに登場する用語で、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trust(信頼性)の頭文字を取ったものです。
Googleはページの品質を評価する際の項目として、経験に基づいているか、ウェブサイトやコンテンツ作成者がそのトピックに精通しているか、他者からよい評価を受けているか、そして何より信頼できるかどうかを非常に重視しています。
一方で、YMYLとは”Your Money or Your Life”の略語で、「人々の幸福、健康、経済的安定、安全に影響を与える可能性のあるページ」のことで、コンテンツの分野・テーマを示す用語です。YMYLページには、医療やお金に関するページや、金銭取引を行うページなどが該当します。
なお2022年のガイドライン変更により、YMYLの解釈がやや変更され、情報が信頼できない場合に有害となるトピックがYMYLであると言及されるようになりました。
そのため、健康がテーマであるページはYMYLである可能性がありますが、健康をテーマとしているページが必ずしもYMYLに該当するわけではありません。
(たとえば歯ブラシの交換頻度についての記事は健康がテーマですが、有害となる可能性を考慮するとYMYLかどうかは微妙なラインであると考えられます。)
ページのトピックがYMYLであるページについては、Googleは特に高いページ品質の評価基準を設けており、中でも重視される評価項目がE-E-A-Tです。
特に2017年~2018年頃からコアアルゴリズムアップデートでは、YMYL分野の中でも特に医療健康に関するページに変動が大きい状態が目立つようになりました。
すでに、医療健康分野のSEO対策においては、明らかにE-A-Tが備わっていないと思われるページをランキング上位で見かけることは減っており、検索品質評価ガイドラインでの考え方が検索順位に色濃く反映されていると考えられます。
当初は医療健康以外のYMYL分野においてはさほど目立った変動は見られていませんでしたが、しかし、2019年7月には新たにお金に関わる分野においても、医療健康分野で見られていたような大きな変動が確認されました。
このように、今後アップデートで対象分野を広げて大きな変更が行われる可能性は十分考えられます。
こうした状況から、YMYL分野のSEO対策で成功するためには、サイトやページがYMYLであるかどうかを確認し、該当する場合は特にE-A-Tを高める施策を行うのはもちろんのこと、そのE-A-Tの高さがGoogleに適切に伝わるようにすることが非常に重要となります。
E-A-TやYMYLに関してはガイドライン内の言及をもとに、以下の記事でより詳しい解説と施策への活用を紹介しています。
Googleが最重視するE-A-Tを高めるための対策
https://www.sakurasaku-marketing.co.jp/labo/blogs/e-a-t
Googleが重視するYMYL分野のSEO対策
https://www.sakurasaku-marketing.co.jp/labo/blogs/what-is-ymyl
Needs Met
Needs Metとは、検索結果がどの程度ユーザーの役に立って満足させられるか(ニーズを満たせるか)どうかを評価するものです。
高いNeeds Metを実現するためには、そのクエリを使用したユーザーの意図(インテント)を想像して、その意図に対応したコンテンツを作成することが必要です。
ユーザーのインテントに沿っていないコンテンツは、たとえどんなに高品質なページであってもNeed Metを達成できないでしょう。このようなページについて、Googleは検索品質評価ガイドライン内では役立たず(”Useless is useless.”)と言及されており、高いランキングには表示されないものと考えられます。
逆に、ユーザーのインテントに沿ったコンテンツであっても、品質が高くないページではNeeds Metを高い水準で達成できないとされ、低い評価を受けてしまいます。
以上のことから、Googleが評価したいコンテンツというのは、そのクエリで検索したユーザーのインテントを満たしており、品質の高いページ、ということだと考えられます。
Needs Metに関してはガイドライン内の言及をもとに、以下の記事で詳しく解説しています。
Google検索品質評価ガイドラインのNeeds Metとは
検索品質評価ガイドラインの近年の更新履歴サマリ
検索品質評価ガイドラインは、2020年以降は更新ペースが1年に1回ペースとなっていましたが、2022年は2度目の更新が行われました。
直近の更新履歴を時系列で遡りながら以下にまとめました。
2022年12月15日更新
既存のE-A-Tにさらに経験のEが追加され、E-E-A-Tになったのが最も大きな変化です。
そのほかにもいくつかの更新がなされています。
E-E-A-T
経験、専門性、信頼性、権威性はすべてページ品質にとって重要で、中でも信頼性が最も重要であると言及
経験、専門性、権威性は信頼性の評価をサポートする概念である
信頼性はもともと英語でTrustworthinessだったが、Trustに変更
※以前は高品質ページの条件として、信頼でき権威があると認められるだけの専門性がある、というように専門性がベースになっているような記述が見られましたが、この記載は今回のバージョンから削除されました。
E-E-A-Tを評価する際には以下を参照するように言及されています。
- サイトやコンテンツ作成者が自身について言及していること
- サイトやコンテンツ作成者について第三者が言及していること
- メインコンテンやコメントなどから読み取れること(経験や専門性のレベルなど)
ここでは言及ありませんが、他の記述から想像するに、2>3>1の順に重視されると考えられます。
経験
多くのページタイプでは、経験をもとに作成されると信頼性が高く、その目的が十分達成されると言及
※検索品質評価ガイドラインにて経験について明示されたのは今回が初めてですが、商品レビューアップデート(日本未実装)に対するヒントが提供されているドキュメントにて、たとえば以下の言及があります。
画像、音声、または商品に関する自分自身の体験に基づく説明へのリンクなど、専門知識を示し、レビューの信頼性を裏付ける証拠を提供します。
ある商品を、特定の商品群において最も優れている、または特定の用途に最適であるとおすすめする場合は、そう考える理由を自分自身の体験に基づいた裏付けを含めて説明してください。
質の高い商品レビューを書く | Google 検索セントラル
上記以外の項目に関しても実体験がないとレビューできないような項目が含まれており、Googleが共通して注目したいポイントなのだと考えられます。
信頼性
信頼できないページはどんなに経験、専門性、権威性があるように見えてもE-E-A-Tは低くなると言及(例:金融詐欺の専門家)
ページ品質の重要要因部分が考慮事項に変更され、表と説明が追加
旧バージョンにて、ページ品質の重要要因は以下であると記載されていました。
- ページの目的
- E-A-T
- メインコンテンツの質と量
- ウェブサイトやメインコンテンツ作成者の情報
- ウェブサイトやメインコンテンツ作成者の評判
新バージョンでは考慮要因に変更され、重要要素を含む以下の要素について言及されています。
- ページの目的
- ページやサイトがガイドラインに記載されている害を及ぼす可能性があるか
- ページのトピックと、それがどの程度YMYLに該当するか
- サイトのタイプ(タイプによって期待されるページ品質が異なるため)
- ウェブサイトやコンテンツ作成者の情報
- メインコンテンツの質
- ページタイトル
- 広告やサブコンテンツによる影響
- ウェブサイトやコンテンツ作成者の評判
- ページの信頼性:E-E-A-T
いずれも以前のバージョンで言及されていた項目ではあるものの、まとめて記載されることで考慮要因がわかりやすくなりました。
ウェブサイトのタイプごとにサイト管理者やコンテンツ作成者についての考え方を分類
ビジネスサイトやECサイトなど |
---|
ウェブサイト管理者がコンテンツを作成するページ |
ニュースや雑誌の記事や科学論文 |
ウェブサイトが掲載内容を決定し、その内容に責任を持つが、メインコンテンツの作成者・著者が別に存在するページ |
ソーシャルメディアプラットフォームや動画投稿サイトのチャンネル |
サイトオーナーがユーザーにアカウント作成やコンテンツの投稿を許可しているページ |
掲示板やQ&Aページなど |
複数のユーザーの投稿によって作成されたページ |
Googleはサイト運営者とコンテンツ作成者が異なるケースについて、明確に分けて評価したいのだと考えられます。
2022年7月28日更新
YMYLの概念について大きな変更がなされていますので押さえておきましょう。
YMYLに関する説明が大きく変更
以前のバージョンでは、健康や経済的安定性などに大きな影響を与えうるYMYLに該当するトピックの例を列挙していましたが、今回のバージョンからは、どのような場合にYMYLに該当するかの説明がされる形になりました。
それによると、YMYLが悪影響を与えうる理由は以下の2つです。
- 自傷行為、犯罪、暴力的過激派など、それ自体が有害または危険である
- 内容が正確で信頼できるものでない場合、有害となる可能性がある
さらに、ほとんどのトピックはYMYLではないとしたうえで、明らかにYMYLであるものと明らかにYMYLでないものの中間に位置するトピックがあることについて言及されました。
例として、天気、歯ブラシの交換頻度、車のレビューなどは健康や高い買い物などのYMYLに該当しそうなテーマではあるものの、YMYLとみなすには微妙なライン上にあるものとされています。
なおその判断基準として、小さな間違いでも害を及ぼす可能性がある・慎重な人であれば専門家や信頼できるソースを探すなどのトピックについてはYMYLであり、友人に相談すれば事足りるものはYMYLでない可能性が高いと記載されています。
検索品質評価についての概要ドキュメントが公開
ガイドライン自体の更新ではありませんが、検索品質評価ガイドラインとは別に、検索の仕組みや品質評価を通じた検索の改善について概要をまとめた全32ページのドキュメントが新たに公開されました。
検索品質評価ガイドラインは167ページもありますが、最初に読むドキュメントとして利用するとよいかもしれません。(ただし、ガイドラインと同じく英語です)
Search Quality Rater Guidelines: An Overview
低品質や最低品質ページに説明が追加
ページの品質評価にあたって、低品質ページはどんなページでも発生しうると記載され、以下のようなものも該当するとのことです。
- 公式、専門家、権威があると思われるソースであっても有害で最低評価を受けるべきケースもある
- 学術サイトや政府サイトなどを含めてサイト種類やトピックを問わない
また、品質を満たすために必要なE-A-Tやメインコンテンツの質・量、運営者や著者に関する情報量はトピックやページの目的に応じて変わることがより強調されました。
YMYLトピックにおいては低品質の兆候をより詳細に調査する必要がある一方で、(YMYLでない)多くのトピックでは、ある程度の経験や時間をかければ満足のいくレベルにコンテンツを作成できるため、著者情報が必要ないことがあるように、YMYLかどうかで必要とされる要件が変わることもより強調されました。
2021年10月19日更新
細かいですがやや重要な変更がいくつか行われています。
YMYLトピックの1つ、Group of peopleの拡張
人種や民族、宗教、障害、年齢、国籍、退役軍人、性的指向、ジェンダーや性的同一性に加えて、カースト、移民、事件の被害者やその親族、組織的な差別や疎外が追加されました。
なお、この変更はその後2022年にYMYLの説明が変更されたことで該当部分からは削除されていますが、概念自体はセクション「7.2 特定グループにとって有害である」にて有効のままです。
評判調査における、外部サイトの重要性アップ
調査対象ウェブサイトと外部サイトで言っていることが異なる場合、以前は外部サイトが言っていることを信じるでしょう(“we‘ll trust ”)と言及されていましたが、新たなバージョンでは外部サイトを信じてくださいという指示になりました。
他にも、外部の評判「にも」目を向けなければならない、という記述が、外部ソースを見つけることに注力すべき、という記述に変更されるなどしました。
ウェブサイトに加えて、コンテンツ作成者を理解することの重要性アップ
もともとコンテンツ作成者も評価対象でしたが、ニュアンス的に弱かった部分を強める変更が行われました。
また、コンテンツ作成者を理解する際、経歴情報(著者情報ページなどを指すものと考えられます)のページが役立つかもしれないとの記載が追加され、本人以外が書いた経歴情報を参照するよう指示されています。
最低品質ページを刷新
セクションが刷新されていますが、最低品質ページの特徴を大きく変更するものではないと考えられます。
その中でも以下2点の内容をピックアップして紹介します。
インタースティシャルなページの解釈
以前のバージョンでは、ページの目的が達成できないという理由で最低品質でしたが、今回のバージョンではページが信用できない理由の1つとして記載されることになりました。
スパミーなページというセクションが新規追加
訪問者の経験を無視して上位表示しようとしているページであり、参照としてGoogle検索セントラルのウェブマスター向けガイドラインが初めて言及されました。
2020年10月14日更新
大きな変更はありませんでしたが、辞書系サイトの評価についての説明や事例が追加されたことは注目に値します。
Googleはこのようなサイトの評価をより注意深く観察し、場合によっては見直したいと考えている可能性があるためです。
辞書系の検索結果に関する評価についてのセクションが新規追加(セクション24.0)
新規追加のセクションです。
これによると、辞書の結果について以下のように述べられています。
- 多くの検索では部分的に役に立つかもしれないが、検索されている地域でよく知られているワードの場合はあまり役に立たない
- ユーザーの検索意図が「何を意味するか」「それが何であるか」であり、辞書サイトが役に立つ場合に高いNeeds Mets評価を与える
さらに、検索結果と評価の例が示されています。
ここでは、「辞書結果が役に立つかどうかを非常に慎重に評価」するよう指示されています。
ガイドライン内ではたとえば以下のようなクエリに対して、辞書結果の評価例を示しています。
- obsequious(※こびへつらう、の意)・・・単語の意味を調べていると考えられ、Needs Metは高いと評価する
- カフェテリア・・・ほとんどのユーザーは意味を知りたいというよりはお店を探していると考えられ、Needs Metは低いと評価する
- ATMの歴史・・・ATMの歴史について詳しく知りたいユーザーが検索していると考えられ、Needs Metは高いと評価する
- atm・・・近くのATMを探していると考えられ、あまりorほとんど役に立たないと評価する
品質評価は直接検索結果を変化させないと明記(セクション0.1)
評価者による評価は検索結果の見た目や順位を変化させるものではなく、検索エンジンのアルゴリズムがうまく機能しているかどうかを調べるものであることが明記されました。
これはGoogleの以前からの説明に合致します。
ガイドライン内で示されている例についての説明を新規追加(セクション0.6)
評価者向けに、ガイドライン内で多く示されている評価例に関する説明が追加されました。
ここでは以下のように記載されています。(英語での記述なので意訳しています)
このガイドライン内で示されている例は、各セクションで定義されている概念がどのように評価タスクに適用されるべきかを説明するために非常に重要です。
また、セクション1.1.0にも例に関する言及が追加されています。
ウェブページは変わりやすいためGoogleはスナップショットで例を示しているとのことで、評価者にはGoogleが考える評価基準をずれのないように伝えたいのだと考えられます。
このことから、ガイドライン内の各例には、Googleが各ページの何を考慮して評価を行って欲しいかが表れているものと考えられます。
実際、ガイドライン内ではセクションごとに数多くの評価例がキャプチャを交えて記載されています。その検索結果例はなぜHigh Qualityなのか、なぜFail to Meetなのか等が解説されていますので、余裕のある方は見てみるのはいかがでしょうか。(例だけでもかなりの数があるので全て見るのは大変ですが。)
特殊検索結果ブロックについての説明が変更(セクション12.8.2)
特殊検索結果ブロック(SCRB)は、いわゆるダイレクトアンサーと呼ばれることもあるもので、天気、スポーツの結果、動画、強調スニペットなどの検索結果が該当します。
SCRBの説明として、以前は、ユーザーが追加のクリックやページ読み込みを必要とせずにタスクを完了できる、との説明がされていましたが、クリックが設置されていることもある、との説明に変更されました。
(※実際、強調スニペットはクリックしてページに遷移することが可能です)
また、以前のバージョンでは、SCRBは特に以下のようなクエリタイプで表示されるとの記述がありましたが、削除されました。
- Know Simple (ぱっと情報を知りたいときに検索するようなクエリ)
- Visit-in-Person (直接店に行きたいときに検索するようなクエリ)
- Do (動画を見たいなど、何かをしたいときに検索するようなクエリ)
マルウェアの警告が出るページについての対応を変更
マルウェアの警告やブラウザによるサイトの警告が出た場合、ページを閲覧せずに悪意があるページとして評価してよいとの記述が追加されました。(セクション7.4.2 & 13.6)
このようなページは、評価タスクでは最低品質で、ニーズを満たせない(Fails to Meet)と評価されます。
なお、マルウェアの警告が出るページについて、以前は404ページなどと同様にロードできないページ(Did Not Load)のフラッグをつけるとの指示がされていましたが、新バージョンではフラッグをつけないように指示されています。(セクション15.5.1)
セクションの順番入れ替え
セクション14と15の順番が入れ替わりました。
内容の変更ではありません。
更新履歴が新規追加(Appendix 2)
これも内容に関するものではありませんが、ガイドライン内に更新履歴が新規追加されました。
2018年10月以降の更新がまとめられており、今後参照する場合に便利ですね。
(このブログでは2017年以降の更新内容をまとめております)
ガイドラインが評価者だけでなく、SEOに取り組むウェブマスターなどの関係者向けのものでもあることを意識しての措置かもしれません。
2019年12月5日更新
変更箇所としてはいくつかありますが、Googleが自発的に変えたくて変えたというよりは、外からの批判をかわすなど消極的な理由で変更したという「大人の事情」があった可能性が高いです。
サマリとしては、評価者に以下のように評価を行わせたいという、意図が見える変更でした。
- 評価者に個人的な見解を排除して、検索地点の基準をもとに検索結果を評価する
- 検索ユーザーだけでなく、周りの人々への影響も考慮する
- 政治的指向を含むユーザーの多様性に配慮する
検索や検索体験に関する説明が追加(セクション0.0)
ガイドラインの冒頭に、”Search Experience”と題したセクション0.0が追加されました。
ユーザーが検索を行うシチュエーションや、検索結果に求められる性質(高品質・信頼性・権威性・多様性・不快でないことetc)について一通り言及されています。
ここでは詳細な説明までは踏み込まれていないものの、今回のそれ以外の変更で重視されている、検索結果や人々の多様性についても触れられています。
評価者は調査地域の代表者であることを強調(セクション0.2)
品質評価は個人的な意見・好み・宗教・政治的な意見によらず、調査地域の文化的基準や規範をもとに判断するよう求められています。
偏った意見に基づいて評価することを避けたいという意図があるものと考えられます。
“user”を”people”に表記変更
ガイドライン内のいくつかの箇所で以前”user”と記載されていた点が、”people”に変更されています。
詳細な意図は示されておらず不明ですが、検索ユーザーだけでなく、直接検索していなくとも影響を受けうる人々を含めるということかもしれません。
なお、前回の更新でも似たような変更がされています。
それは、YMYLの定義の部分で、「将来の幸福、健康、経済的安定性や安全に影響を与える可能性のあるページやトピック」というのがYMYLですが、影響を与えうる対象が”user”から”people”に変更されていました。
ユーザーが政治的指向を含めたさまざまなバックグラウンドをもつことを強調
ガイドライン内のいくつかの箇所でユーザーは、年齢、ジェンダー、人種、宗教、政治的指向など、さまざまなバックグラウンドをもつことを考慮して評価を行うよう繰り返されています。
以前からユーザーの多様性については言及がありましたが、今回あえて「政治的指向(political affiliations)」を追加した箇所があるなど、特に政治的な多様性について追加したかったものと考えられます。
2019年9月5日更新
変更された箇所は比較的多い中で、重要な変更と、そうでない変更が入り混じった更新となりました。
YMYLに関して
YMYLに関して、定義や例など、解釈の追加を伴う変更があり、注目すべき変更であると考えられます。
ガイドライン中のセクション2.3にあたります。
まず、YMYLの定義に関して、新バージョンでは、YMYLとは「人の将来の幸福、健康、経済的安定性や安全に影響を与える可能性のあるページやトピック」であると定義されています。
この点に関して、以下のように解釈される点が旧バージョンと異なっています。
- 影響を与えうる対象として、検索ユーザーだけでなく周りの人も含める
- 該当するページだけでなくトピック全体を考慮する
また、YMYLの例として記述が大きく変更されましたが、実質的に以下の2つが変更されているのは注目すべき点です。
- Groups of people(人間の集団に関する情報や意見についてのトピック)が新規追加
- ショッピングについて、購入ページだけでなく、購入前調査のページが新規追加
Website運営者に関して
新バージョンでは、Website運営者が誰であるかを明らかにする必要性がより強調されるようになりました。
ガイドライン中のセクション2.5.2にあたります。
Website運営者を明らかにする理由として、「運営者自身が作成したコンテンツと他のユーザーが作成したコンテンツを見分けるため」との記述が追加されました。
直近で第三者にサイトの領域を賃貸することが問題になっていることなどを反映している可能性があります。
また、新バージョンでは、以前と比べてライセンスやシンジケートされたコンテンツであっても、コンテンツの責任者はウェブサイト運営者であるとの語調が強まりました。
Website運営者の評判に関して
新バージョンにおける変更点は以下のとおりです。(セクション2.5.2)
- 受賞サイトの例として、新聞に加えて関連サイトが追加
- 考慮に入れる評判として、ピューリツァー賞に加えて「高品質な独自報道」が追加
また、高品質ページの例(セクション4.6)においても、ピューリツァー賞受賞以外の項目を考慮するように変更がなされており、「客観的な報道」、調査の上で報道されていること(investigative journalism)、ピューリツァー賞以外の賞の受賞、などが考慮するよう追記されています。
この変更の詳細な意図は、ガイドライン更新の後日にGoogleが公開したブログにあるように、一次報道(original reporting)など高品質な報道を行っている媒体(新聞に限らない)を高く評価したいという意図があるものと考えられます。
Elevating original reporting in Search
https://www.blog.google/products/search/original-reporting/
非常に高品質なメインコンテンツの要件
YMYLに必要とされる要件として、旧バージョンでは、YMYLトピックのニュースや情報記事には、高いレベルの正確性と通説との一致性が求められる、との記述がありましたが、新バージョンではニュース記事や情報記事への言及がなくなり、YMYLトピック全般に求められるものとなりました。
こちらはガイドライン全般の解釈を変える変更ではありません。
一方、高品質の要件として、以前に増してオリジナル性が強調されるようになったのは特筆すべき点です。
旧バージョン:高品質ページと判断されるページの条件は十分で包括的なメインコンテンツがあることである
新バージョン:非常に高品質なメインコンテンツ要素は独自でオリジナルであること
加えて、新バージョンではコンテンツ種別ごとに例が新規追加されました。
- ニュース記事の場合:その記事でなければできないオリジナルな報道、スキルや工数を要するオリジナルな調査レポートなどで、正確で、一次情報が示されており、プロのジャーナリズムの基準を満たされていること。
- 芸術的コンテンツの場合:才能や熟練したクリエイターによって作成され、コンテンツは独自でオリジナルであり、才能・技能・時間・努力を費やされているもの。※芸術的コンテンツであっても、YMYLトピックに関する意見を伝えるものはYMYLの基準が適用される
- 情報コンテンツの場合:正確・包括的・明確であることに加えて、分野に応じた基準を満たす
“unique”や”original”というワードが用いられており、そのコンテンツを起源とする情報や他のコンテンツにはない独自性がより重視されるようになるものと考えられます。
この変更はセクション5.1にあたります。
ポジティブな評判
新バージョンでは、ポジティブな評判がそのページにEATがあることのエビデンスになるとの言及が追加されました。
これ自体は特に解釈の変更を伴うものではありません。
また、旧バージョンでは、既存の日常トピックの評判調査についての言及がされていましたが、新たにYMYLトピックの評判調査についての言及が追加されました。
- 評判のチェックは注意深く行う必要があり、専門家、専門家集団、受賞などに基づく必要がある
- ショッピングページでは、すでにそのサイトを使ったユーザーを専門家としてみなす
- 医療情報ページでは、専門家は適切な医療関係の人または組織である必要がある
この中では特に、購入経験者が専門家としてみなされる、という言及がなされたことは注目すべきポイントであると考えられます。
ヘイトの拡散に関して
ヘイトの対象となる集団について、マイナーな変更がありました。(セクション7.3)
旧バージョン:人種や民族、宗教、性別、国籍や市民権、障害、年齢、性的指向、社会・経済的な地位、政治的信条、ベテランの地位、残虐行為の犠牲者
新バージョン:人種や民族、宗教、障害、年齢、国籍、ベテランの地位、性的指向、性別、自認している性(gender identity)
いくつかの項目が削除された中で、gender identityが追加されています。
これはセクション14.6.1においても同様です。
ガイドライン中には、「例示された集団に限らず」という言及があるため、大きな解釈の変更はないものと考えますが、削除された項目がある中であえて新規追加した意図は不明です。
2019年5月16日更新
更新は説明の補足などで、さほど重要な変更ではないと考えられます。
インタースティシャルページに関する説明が追加 |
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以前のバージョンでもインタースティシャルページへの言及はあったものの、新たにアプリダウンロードを要求するインタースティシャルページを例に挙げて、ユーザーの閲覧を極度に邪魔するものとしてピックアップされました 。 |
E-A-Tに関するFAQにて、E-A-Tについての説明が追加 |
以前のバージョンでも、分野によって要求されるE-A-Tは異なると言及されていましたが、 日常分野のトピックであれば専門性のレベル(everyday expertise)はメインコンテンツから読み取ることができる とのFAQが追加されました。 |
ガイドライン中のE-A-T評価の記述が”Page Quality”に置き換わる |
以前のバージョンでは評価者は各ページのNeeds Met評価とともに、”E-A-T”の評価を行っていましたが、改訂により”Page Quality”の評価を行うことになり、ガイドライン中の記述が一斉に置き換わりました。 ただし、もともとページ品質の中でE-A-Tが占める割合は非常に高いと考えられ、実質的に大きな変更ではないと考えられます。 |
2018年7月20日更新
変更点は定義や評価項目に関わるものであり、重要度の大きい変更がなされました。
ページ品質の評価項目に「ページの目的」が追加 |
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このバージョンで、ページ品質の評価項目として、「ページの目的」が追加され、最重要項目として位置づけられました。 以前のバージョンまではE-A-Tが最重要項目でした。 ページの目的が評価項目となったことで、ユーザーの役に立つ目的で作成されていないページは、常に最低品質として評価されることになりました。 |
ページ品質の評価項目に「メインコンテンツ作成者の情報・評判」が追加 |
以前のバージョンでもWebサイトの情報・評判は評価対象となっていましたが、今回新たにメインコンテンツ作成者の情報・評判も評価対象に含まれることになりました。 ライター・記者を擁するサイトやCGMなどのように、Webサイト運営者とメインコンテンツの作成者が異なる場合に影響すると考えられます。 |
YMYLの定義に「安全(Safety)」が追加 |
以前のバージョンでは、YMYLは「幸福、健康、経済的安定」の3点でしたが、このバージョンから「安全(safety)」が追加されました。 「安全」にはどのようなページが該当するのか明示されていませんが、政治や災害などを扱うニュース記事・公的情報が含まれる可能性があります。 |
2017年5月15日更新
主に「Using the Evaluation Platform」の項目が刷新され、評価者向けに、複製コンテンツの自動検知や評価者のチェック方法などが更新されました。
当時行われたアウルアップデートを受けた更新であったと考えられます。
2017年3月14日更新
低品質なページと判断するポイントとして、人種差別につながる内容、なりすまし・フェイクニュースのようなもの、広告売上だけのために作られた情報が追加されました。(2018年に追加された、「ページの目的」につながる内容です)
特に、攻撃的だったり怒りを引き起したりするようなコンテンツのチェックに関しては、検索クエリに関係なく評価する仕組みが評価システムにあり、どのように判断するかが4ページにわたって追加されました。
検索品質評価ガイドラインに関する誤解と注意点
検索品質評価ガイドラインはもともとウェブマスターに向けたガイドラインではない
検索品質評価ガイドラインはウェブマスターが守るべき項目を定めたガイドラインではありません。(もともとは非公開文書でしたが、度重なるリークを経て、現在では更新のたびに公開されるようになっています)
そのため、検索品質評価ガイドラインに書いていることが守れていなかったとしても、手動による対策(ペナルティ)を受けることはありません。
検索品質評価ガイドラインを読む目的は、Googleやユーザーから評価されるコンテンツ・サイト作成のヒントとして生かすことです。
近年ではGoogleはブログなどを通して、検索品質評価ガイドラインをよいコンテンツを作成するためのアドバイスとするように推奨しています。
最適なコンテンツに関するアドバイスを紹介するもう一つのリソースとして、検索品質評価ガイドラインをご紹介します。
Google のコア アップデートについてウェブマスターの皆様が知っておくべきこと
検索品質の評価者はユーザーを代表した評価であり、ガイドラインに書かれている方向性に沿うことは、アルゴリズムから高いランキング順位評価を受けやすくなることにつながると思われます。
なお、ウェブマスターが守るべきガイドラインは以下のウェブマスター向けガイドラインです。
この内容を守れない場合、検索エンジンにインデックスされなかったり、手動による対策を受けたりといったことが起こる場合があります。
ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン) – Search Console ヘルプ
https://support.google.com/webmasters/answer/35769?hl=ja
評価者の評価が直接順位に影響するわけではない
検索品質評価ガイドラインに基づいて評価者があるサイトを高くまたは低く評価したとしても、それが直接順位を上下させるわけではありません。
これについてのGoogleの説明は一貫しており、2020年10月のガイドライン更新では、ガイドライン内にその旨の記述が追加されています。
また、評価者が評価しているのはテストアルゴリズムであると言われており、実際のアルゴリズムを評価しているわけではありません。
Googleは評価者の評価がより良い検索結果が得られるアルゴリズム変更を実装しているのだと考えられます。
まとめ
検索品質評価ガイドラインは、上位表示されるコンテンツ作成のヒントとして利用するのがおすすめです。
ガイドラインから読み取れる重要ポイントは以下のようになります。
- ページ品質はクエリとは関係がなく、YMYL分野では評価基準が厳しくなる
- ページ品質評価において、E-A-Tが重要である
- Needs Metはクエリに依存する(だからクエリの理解が必須)
- どんなに品質が高いページでも、クエリと関係ないページは高く評価されない
- インテントに沿ったページでも、品質が低いページではニーズを満たせないため、高く評価されない
- ユーザーニーズを高い水準で満たすには、インテントに沿っており、かつページ品質が高い必要がある
ガイドラインはたびたび変更されていますが、変更内容にはGoogleが進みたい方向性が反映されていると考えられます。
その意味で非常に貴重な文書であると考えられますので、ガイドラインの内容はしっかり理解しておくことをおすすめいたします。
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