Webサイト改善の指標のひとつに、「直帰率」があります。Webサイトの目的やページの位置付けによっては、直帰率が高い = 訪問者の期待に応えられていないという考え方ができるからです。
とはいえ、直帰率が高いことは必ずしも問題があるわけではありません。
直帰率の捉え方とGoogleアナリティクスを用いた直帰率の改善ポイントを解説します。
Webサイトの直帰率とは
直帰率とは、Webサイト訪問者(セッション)のうち、最初に訪問したページだけを閲覧して、ほかのページに遷移することなく離脱してしまった割合を指します。
ただし、Googleアナリティクスではほかのページに遷移しなくとも、イベントなどのリクエストを行っていた場合には直帰扱いとはなりません。
例えば、あるWebサイトにおいて以下のようなケースを想定します。
- ある1日のセッションが100だった
- このうち70セッションは、2ページ以上閲覧した
- 残る30セッションは、最初の訪問ページ(ランディングページ)しか閲覧していない
- さらにそのうち、10セッションはそのページ内でクリックなどのアナリティクスイベントを達成した
この場合、通常直帰率は30%と計算されるでしょうが、アナリティクス上では追加のイベント達成がなかった20セッション分の20%となります。
直帰率の目安・平均
直帰率は業界やページ種類によって大きく変わります。
アメリカのBRAFTON社が2017年に発表したレポート「Brafton 2017 Content Marketing Benchmark Report」によると、直帰率はサイトの種類によって異なるとのことです。
調査対象のWebサイトにおいて平均直帰率は以下のとおりです。
- すべてのWebサイト:58.18%
- BtoBのWebサイト:61.04%
- BtoCのWebサイト:54.24%
- BtoBとBtoCを兼ねるWebサイト:52.36%
また、業界によっても直帰率の傾向は異なり、例えばIT業界では平均64.21%、金融サービス業界では53%という調査結果でした。
さらに、ページの種類が直帰率を大きく左右します。
たとえば、会社名で検索してサイトのトップページに来たユーザーと、サイトを指定せずにある特定のノウハウを探しに来たユーザーでは直帰率が違うことは直感的に予想がつくことでしょう。
たとえばブログページにたどり着くユーザーの多くは情報を探しに来たのであって、その情報が見つかれば追加のページを見たり、ましてやいきなりそのサイトで何かを買ったりはなかなかしないものです。
ブログページでは直帰率が90%を超えることも珍しくない一方、サイトのトップページやサービスページでは50%ほどになることがあります。
なお、直帰率が0%のページが多く見られる場合は、WebサイトにGoogleアナリティクスのトラッキングコードを複数設置してしまっているなどの不備が考えられるので、念のため設定を確認することをおすすめします。
参考:Googleアナリティクスのトラッキングコードを確認・設置する方法
直帰率と離脱率の違い
直帰率と似ている指標として「離脱率」があります。
特定のページの直帰率と離脱率は、明確に計算式が異なります。(詳細はアナリティクスヘルプ「離脱率と直帰率の違い」参照)
簡単に言うと、そのページしか閲覧していなかったセッションでページ(サイト)を離れることが直帰、複数ページを閲覧していたセッションでそのページを離れることが離脱です。
- 直帰率 = 当該ページだけを閲覧し、追加のヒットがないまま離脱したセッション数 ÷ 当該ページの全セッション数
- 離脱率 = 複数のWebサイト内ページを遷移、または当該ページのみを閲覧して離脱直前に閲覧したのが当該ページだったセッション数 ÷ 当該ページのページビュー数
直帰率が高まる主な要因
直帰率が高まる主な要因としては、次の5つが挙げられます。
- 訪問者の期待に対して、ページ内容(情報やコンテンツ)の魅力が薄い
- ページが見づらい、使いづらい(フォントの大きさ、画像や表のサイズ、リンクやボタンの操作性など)
- ページの読み込み速度が遅かったり、動作が重たかったりする
- 訪問者に次のアクションへの動線を示せていない、わかりにくい
- 当該ページ単体で訪問者の期待を充足し、訪問者が目的を果たせて満足した
すでに述べたように、ページの目的によっても直帰率は変わります。ユーザーニーズが満たされている状態であれば、直帰率を劇的に改善することは困難です。
しかし、ユーザー体験が悪いために直帰率が高まっていることが疑われる場合には原因を特定し、改善する余地があります。
Googleアナリティクスで直帰率を確認する手順
直帰率は、Webサイト全体、ページ単位、流入元単位に確認することができます。
Webサイト全体の直帰率を確認する
Googleアナリティクスの「ユーザー」>「概要」レポートを開きます。
レポート期間(画面右上で設定できます)におけるWebサイト全体の直帰率がレポーティングされます。
ランディングページ単位の直帰率を確認する
Googleアナリティクスでは、ユーザーがWebサイト訪問時に最初に閲覧したページを「ランディングページ」と呼びます。
Googleアナリティクスの「行動」>「サイトコンテンツ」>「ランディングページ」レポートを開きます。
レポート期間におけるランディングページごとの直帰率がレポーティングされます。「直帰率」の列タイトルをクリックすると、直帰率の昇順/降順でランディングページを並べることもできます。
流入元単位の直帰率を確認する
Googleアナリティクスの「集客」>「すべてのトラフィック」>「チャネル」レポートを開きます。
Googleアナリティクスが分類する流入経路ごとの直帰率がレポーティングされます。主な分類は次のとおりです。
- Direct:URLの直接入力、ブラウザのブックマーク、メールや文書のリンクなど
- Referral:外部サイトからのリンク
- Social:TwitterやFacebookなどのSNS投稿
- Organic Search:検索エンジンでのオーガニック検索
- Paid Search:リスティング広告(検索連動型広告)
- Display:ディスプレイ広告(バナー広告)
Googleアナリティクスには、流入経路のタイプと具体的な流入元(ドメインや検索エンジン)を組み合わせたレポートもあります。Googleアナリティクスの「集客」>「すべてのトラフィック」>「参照元/メディア」です。
直帰率の改善方法
すでに述べたように、ページによって直帰率は高くなってしまうもので、改善が難しいことも少なくありません。
その中でどのような改善ができるかについて紹介します。
直帰率の改善ポイント
以下の4つの観点から改善を行なっていくのが効率的です。
- ページ内容の充実
訪問者のニーズを把握し、充足できているかを確認します。検索キーワードや流入元(広告なのかオーガニック検索なのかなど)から推測し、ページ内容とニーズにギャップがあるなら、埋めていきましょう。ページ全体もさることながら、ファーストビューでニーズに応える(もしくは訪問者の期待を高める)ことも重要です。 - ページの読みやすさ、操作しやすさ
フォントが小さく読みづらい、画像や表がはみ出ている、リンクやボタンがクリックしにくいなど、リーダビリティが低いページは訪問者を呼びとどめることが難しいです。デバイスタイプ(PC・スマホ・タブレット)で直帰率が乖離していないか、ページの表示がスマホやタブレットで最適化されているかも、忘れず確認・対応しましょう。 - ページの読み込み速度
読み込みが遅かったり動作が重たかったりするページも、訪問者の離脱を誘発する大きな要因です。PageSpeed InsightsやGoogleアナリティクスの「行動」>「サイトの速度」>「ページ速度」レポートも参考に、読み込み速度に問題がないかを確認し、必要に応じて改善します。
参考:ページスピードインサイトの使い方とコアウェブバイタル(LCP/FID/CLS)のスコア改善方法 - ユーザー動線の設置・誘導
ページの内容が訪問者のとりあえずの期待に応えるものだったとしても、期待に先回りしたコンテンツを提示できていない場合もあります。関連記事を提示してサイト内回遊を誘導したり、コンバージョンに向かうメッセージやリンク、ボタンを設置したりしましょう。
直帰率の改善対象ページ
上記の改善ポイントをふまえて、対象ページを抽出します。次の観点から、インパクトを見込めるページを優先して改善することをおすすめします。
- アクセス(セッション数)がWebサイト上位なのに、直帰率が高いページ
ページの種類によっては直帰率の大きな改善が見込めないと考えられるものの、アクセス数が多い場合は改善のインパクトが大きいと考えられます。 - 直帰率が高い一方で、コンバージョン率も高いページ
そのページがコンバージョンにつながっているページである場合は、一部のユーザーにとって障壁があるために直帰につながっていると考えられます。
まとめ
直帰率が高いからといって、一概にそれが悪いわけではありません。
なぜユーザーが直帰しているかを考え、サイトやコンテンツに問題があるのであればPDCAを回して改善していくことが必要です。
Googleアナリティクスの設定や基本的な使い方については以下の記事も参照ください。
【初心者向け】Googleアナリティクスの設定と基本的な使い方