Webサイトの成果を高めるためには、ユーザーの最初の訪問ページ(ランディングページ)が、ユーザーの期待に応えるものでなければなりません。アナリティクスを使ってランディングページの現状を把握するための分析ポイントと、改善のしかたを解説します。
なお、この記事ではGoogleアナリティクス4ではなく、主にユニバーサルアナリティクスのランディングページについて解説します。
ユニバーサルアナリティクスの設定や基本的な使い方については以下の記事を参照ください。
【初心者向け】Googleアナリティクスの設定と基本的な使い方
Googleアナリティクスにおけるランディングページとは
Googleアナリティクスにおけるランディングページとは、ユーザーがWebサイト訪問時に最初に閲覧したページを指します。言い換えると、セッションが開始されたページです。
一般にランディングページというと、広告を使って集客する縦長のページを指すことが多いかもしれませんが、アナリティクスにおけるランディングページではどのようなページ種であるかや流入経路を問いません。
実際にどのページがランディングページになっているかは、アナリティクス内のメニュー「行動」>「サイトコンテンツ」>「ランディングページ」から確認できます。
ちなみに似たようなレポートに、「行動」>「サイトコンテンツ」>「すべてのページ」があります。このレポートではランディングページであったかどうかにかかわらず、PVが多いページ順に並んでいます。
各レポートの違いとしては、「ランディングページ」レポートが入り口ページとなった回数を示しているのに対し、「すべてのページ」レポートは単純に閲覧された回数が多いページが示されることです。
ランディングページの分析と改善
アナリティクスを用いたランディングページ分析について解説します。
ランディングページの改善するメリット
ランディングページの分析・改善を行う場合。目的とポイントは以下のようなものでしょう。
•Webサイトの課題を見つけることができる
•改善の優先順位をつけることができる
Webサイトの課題が見つけられる
資料請求や購買、SNSシェアなど、Webサイトには何らかの「目標」があるはずです。ランディングページはセッションの開始地点ですから、目標に行き着くまでの動線や、Webサイト内の回遊の出発点となります。
ランディグページがどの役割をどの程度果たしているかを以下のような観点から分析することで、課題を抱えているランディングページを抽出することができます。
•集客経路(チャネル)や集客数(セッション数)
•直帰率(当該ランディングページの訪問者のうち、このページの閲覧だけで離脱した割合)
•コンバージョン率(当該ランディングページの訪問者のうち、あらかじめ定めた「目標」を達成した割合)
改善の優先順位がつけやすい
Webサイト内には課題を抱えるページは数多く抽出されるでしょう。まずはランディングページに着目し、Webサイトの目標に直結するページや、セッション数が多いページを優先して改善することで、打つべき施策が多数あるサイトにとっては有効でしょう。優先度を決める具体的な視点や改善のしかたについては、後述「ランディングページの改善方法」をご覧ください。
ランディングページ分析においてチェックすべき指標やレポート
分析時に着目する候補となる指標やレポートを紹介します。
セッション数
Googleアナリティクスの「行動」>「サイトコンテンツ」>「ランディングページ」レポートを開きます。
セッション数が多いページは、すなわち訪問者に多く獲得しているページです。
ページを特定してさらに訪問者を獲得するための施策を考えたり、流入したユーザーをコンバージョンへ導く施策などが考えられます。
直帰率
当該ランディングページの訪問者(セッション)のうち、このページだけを閲覧してWebサイトから離脱した割合です。直帰率の高さは、すなわち離脱のしやすさを示していますが、注意すべきは、直帰率はページの種類や目的によって大きく変わることです。その直帰率の高さは問題となるレベルであるのか、離脱の原因は何なのかを掘り下げて考察しましょう。
滞在時間(平均セッション時間)
アナリティクスにおける滞在時間とは、そのランディングページから開始されたセッションの平均時間を指します。ただし注意しておきたいのは、平均セッション時間には、当該ランディングページで直帰した訪問者(セッション)の滞在時間は含まれないということです。アナリティクスの仕様上、ランディングページにアクセスしてから、最後のアナリティクスヒット(ページビューやイベントなど)までの時間がセッション時間となります。
直帰率と同じく、滞在時間の数値の意味には考察が必要な指標です。
他のページと比べて明らかに滞在時間が短く離脱につながっているなど、サイトに明らかな欠陥が特定できた場合は導線を改善するなどにより、ページのパフォーマンス改善に生かすことができます。
コンバージョン数・コンバージョン率
当該ランディングページ訪問者(セッション)がどの程度Webサイトの「目標」を達成したかの状況を示す数値です。
セッション数が多いのにコンバージョン率が低いページを改善したくなるでしょうが、ページによってユーザーの流入動機はさまざまですから、コンバージョン意欲もページごとに異なることは押さえておきましょう。また集客したとしても1度のセッションだけではユーザーはコンバージョンせず、改めて別のセッションにてコンバージョンしているのかもしれません。それらを勘案した上で、改善すべきページのユーザー動線を見直したり、コンバージョン率が高いページに回遊させる施策を打つなどするとよいのではないでしょうか。
参考:Googleアナリティクスの「目標」って? コンバージョンの設定方法とレポートの見方
サーチコンソールとの連携レポートで確認する
あらかじめGoogleアナリティクスとサーチコンソールを連携させておくことで、ランディングページごとの流入元を分析することができます。
ただし、クリックをもとに指標を取得しているサーチコンソールとは異なる仕様で取得されているアナリティクスデータと連携されたレポートですので、実際の数値とは異なる可能性がある点には注意しましょう。
参考:グーグルアナリティクスとサーチコンソールを連携する方法
Googleアナリティクスの「集客」>「Search Console」>「ランディングページ」レポートを開きます。
デフォルトでは、レポート期間(画面右上で設定できます)におけるGoogle検索結果の表示回数(Google広告の表示回数は含まず)の多い順にランディングページが並びます。
コンバージョンが多く、クリック率や検索順位などの検索パフォーマンスの改善によりさらなる成果向上が見込めるページ抽出などが可能になるでしょう。
なお、上記で紹介したランディングページにおけるユーザー行動は、セカンダリディメンションを用いると、「ランディングページ」×「○○」の2軸でさらに細かく分析可能です。○○に入れると有用なものとしては、例えば以下があります。
必要に応じて絞り込みましょう。
•「広告」>「キーワード」 : キーワードごとの訪問者の動向を確認できます。
•「集客」>「デフォルトチャネルグループ」や「参照元/メディア」 : 訪問者の流入元/流入経路ごとの動向を確認できます。(参考:Googleアナリティクスの「参照元」で、流入元を確認する方法)
•「ユーザー」>「デバイスカテゴリ」 : PCやスマホ、タブレットごとの動向を確認できます。
たとえば、ランディングページレポートに「デフォルトチャネルグループ」のセカンダリディメンションを適用すると次のようになります。
ランディングページ改善の優先順位設定
上述の指標やレポートを利用すれば課題を抱えているページや課題内容が複数見つかることでしょう。もちろんすべてを改善できるに越したことはありませんが、工数を考えると現実的ではありません。
インパクトが期待できるランディングページから順次改善していくことをおすすめします。まずは、次のようなページを対象するとよいでしょう。
・セッションが多いページ
・コンバージョン率が高いページ
セッションが多いページのコンバージョン率を改善すれば、小さな改善でも大きな違いを生む場合があります。
流入したユーザーのニーズが満たせているかどうかをチェックし、満たせていないポイントを改善します。
広告や自然検索のキーワードがわかればニーズは読みやすくなります。
同じように、もともとコンバージョン率が高いページがわかれば、さらにセッションを強化することで成果を拡大できると考えられます。
また、コンバージョン率が高い理由がわかれば、他ページにも展開することでサイト全体のコンバージョンを高めることも期待できます。
レポートを全体的に見ているだけでは問題抽出は難しいことがありますので、先述のセカンダリディメンションも活用しつつ、チャネルやデバイスカテゴリごとにセグメントしたレポートを確認するとよいでしょう。
改善施策を行った後は、忘れずに効果検証も行なってPDCAを回したり、改善ノウハウをほかの課題ページにも展開したりしていきましょう。
まとめ
ランディングページの改善は、Webサイト全体の成果に直結する重要な施策です。優先順位を決めながら、着実に改善のPDCAを回していくことをおすすめします。