Needs Metとは、Googleの検索品質評価ガイドラインにおいて、検索結果がどの程度ユーザーの役に立って満足させたか(ニーズを満たしたか)どうかを評価するものです。
検索結果がユーザーの役に立つかどうかは、ユーザーが何を意図して検索を行ったかによるため、評価の際にはクエリの意図を想像する必要があります。
逆に言えば、ターゲットキーワードで上位表示させたい場合には、想定されるユーザーの意図に沿ったコンテンツを作成することが不可欠です。
Needs Metはユーザーの満足度に直結するため、Googleが検索順位づけを行っている際にも非常に重視されると考えられる項目です。
この記事では、検索品質評価ガイドラインにおけるNeeds Metについて解説します。
複数の意味を持つクエリの解釈
ユーザーニーズの前にまず、キーワードの意味を押さえておく必要があります。
クエリやキーワードの中には複数の意味を持つものがあります。
同じキーワードでも全く違う意味を持つ場合、Needs Metを考える前にまず、そのキーワードがどの意味で使われているかを考慮する必要があります。
たとえば、英語で”apple”という検索クエリの場合、おそらく多くの人がMacやiPhoneを製造しているブランドを想定しているでしょうが、中には果物のリンゴを意図している人もいるかもしれません。
さらにマイナーなケースでは、人名や地名としての”Apple”を想定していることもありえます。
このように、どのような意味で検索されているかに注意しておかないと、低いNeeds Metしか達成できない場合もあるため注意が必要です。
キーワードの意味のことを解釈(interpretation)と呼び、それがどれだけ一般的であるかに応じて、次のような分類ができます。
dominant(多数派) > common(通常) > minor(少数派)
一般に、多数派の解釈に対してのコンテンツのほうが多くのユーザーのニーズを満たしやすいため、少数派の解釈に対してのコンテンツより上位表示しやすいと考えられます。
クエリの意図の種類
クエリの意図(インテント)はすなわちNeedsで、ユーザーが何を求めているかという非常に重要なポイントです。
クエリの意図は大きく4つに分けられます。
- Know
- Do
- Website
- Visit-in-person
Knowクエリ
Knowクエリはインフォメーショナルクエリとも呼ばれ、何かを知りたいという情報型のクエリです。
Knowクエリの中には、特にKnow Simpleクエリというものがあります。
例えば、「天気」とだけ検索された際に、ユーザーは天候の種類や計測方法が知りたいわけではなく、直近の天気が晴なのか雨なのか、気温はどれくらいか、といった情報を簡単に知りたいという意図があります。
強調スニペットやアンサーボックスはKnow Simpleクエリに対応した検索結果であると考えられます。
このようにKnowクエリでは、どんな情報がどんな粒度で必要とされているのかがクエリによって異なるため、コンテンツを作成する際には特に注意する必要があるといえます。
Doクエリ
Doクエリはトランスザクショナルクエリとも呼ばれ、何かをしたいという取引型のクエリです。
例えば、動画を見たり何かを購入したりアプリをダウンロードしたりといったことが挙げられます。
Websiteクエリ
Websiteクエリはナビゲーショナルクエリとも呼ばれ、ユーザーの念頭に特定のウェブサイトがあり、そこに行きたいという案内型のクエリです。
URLで検索されるケースは典型的なWebsiteクエリです。
Visit-in-personクエリ
Visit-in-personは、お店などをオフラインで訪れる前に検索されるクエリです。
モバイルで検索される際は特に、クエリに明示されていなくとも「近くの」という意味が含まれており、検索者の近くのお店を探しているのが特徴です。
Need Metの程度
検索ユーザーが検索結果にたどり着いた際に、満足できてニーズが満たされるかどうかは、以下のような観点で評価できます。
- クエリの意味の解釈が合っているかどうか
- クエリの意図が合っているかどうか
- ページの品質が高いかどうか
- 欲しい情報がわかりやすいかどうか
検索品質評価ガイドラインでは、Needs Metの評価方法として、どれだけのユーザーを、どの程度満足させられるか、という観点から、程度が高い順に以下のような評価がされています。
Fully>Highly>Moderately>Slightly>Fails to Meet
Fully Meets
Fully Meetでは、クエリの解釈や意図にあいまいさがなく、必要な情報がすぐに得られ、ほぼすべてのユーザーが満足する状態です。
ただ、Fully Meetsのページが存在しえない場合もあり、Fully Meetsの評価がされる場合は、Websiteクエリ、Know Simpleクエリ、Visit-in-personクエリであることがほとんどのようです。
たとえば「犬」という検索クエリでは、意図があいまいで1つに絞れなかったり、求められている情報の種類や量がユーザーによって異なるために、Fully Meetsの検索結果が存在しないと考えられます。
Highly Meets
Highly Meetsは、クエリの意図にマッチしており、多くのユーザーニーズを満たすことができるコンテンツに割り当てられる評価です。
このようなコンテンツは以下の複数項目に当てはまる場合がほとんどです。
- 品質が高い
- 権威性がある
- 面白い
- 情報が新しい
実際にSEO対策を進めていく上では、検索クエリに対してHighly Meets以上の検索結果になるよう、施策を行うことになるかと思います。
Moderately Meets
Moderately MeetsはHighly Meetsの一段階下の評価です。つまり、以下のような特徴があります。
- クエリにマッチしており役に立つコンテンツではあるが、不十分である
- 少数のユーザーニーズしか満たせない(逆に言えば、Dominantな解釈でないなど多数ではないが一部のユーザーを非常に満足させることができる)
- やや情報が古い
- 権威性があまりない
Moderately Meetsは総じて中程度の評価であり、悪い検索結果ではありません。
が、中には別の検索結果を見たりキーワードを変えるユーザーが出てくるなど、検索結果に満足しないユーザーが出てくることも考えられます。
このようなコンテンツの上位表示を安定化させるためには改善が必要であると考えられます。
Slightly Meets
Slightly Meetsはさらに評価が下がります。
- マイナーな解釈である
- 品質が低い
- 古くなって時代遅れである
- 不正確な部分がある
- クエリの一般的な意図とずれている(広すぎるor狭すぎる)
- タイトルから期待されるコンテンツがランディングページにない
このようなコンテンツがサイト内にあった場合、修正するとしても上位表示までの施策工数が大きくなることが予想されます。
実際に対策を進めていくのか、より見込みの高い別のキーワードに注力するのか、などは検討すべきポイントかと思います。
Fails to Meet
Fails to Meetはほとんどor全くユーザーの役に立たないページです。
要因の1つとしては、クエリと無関係ということも挙げられますが、他にも以下のような特徴があります。
- コンテンツがクエリと無関係
- 有害なページ
- なりすましサイト
- ユーザーをだますor虚偽の情報である
- 情報が不正確である
- ポルノ意図がないクエリに対する、ポルノコンテンツ
- 不快or攻撃的なコンテンツを求めていないクエリに対してそうしたコンテンツを返している
- ユーザーが別の視点を求めていないクエリに対する、コンセンサスに矛盾する科学・医療情報や歴史事実が記載されている
「クエリと無関係である」という項目以外は正常なサイトではあてはまってはならないものとなっています。
もしあてはまるものがあった場合、当該ページの隔離(noindexやページ削除)を行い、適切なコンテンツを再度作成したり、再発防止策を検討することになるかと思います。
ページ品質とNeeds Metの関係
検索品質評価ガイドラインは、ページ品質とNeeds Metという2つの大きな項目の評価基準を定めたガイドラインです。
ページ品質と深くかかわるE-A-Tについては以下の記事をご覧ください。
Needs Metはクエリと検索結果の両方をもとに、クエリに対して適切なコンテンツであるかどうかを評価します。
ページ品質やE-A-Tの評価は、クエリは無関係に、そのページを評価します。
そのため、どんなにページ品質やE-A-Tが高くとも、Needs Metでは最低評価ということもありえます。
このようなページについて、Googleは検索品質評価ガイドライン内で次のように言及しています。
“Useless is useless.”(役に立たないものは役に立たない)
一方で、ページがクエリが求めているトピックに沿っていたとしても、品質が高くないと評価された場合、Needs Metも低い評価しか得られません。
Googleアルゴリズムに”useless”と評価されないためにも、以下ではNeeds Met対策のポイントについて考えてみます。
Needs Metとランキングの関係
検索品質評価ガイドラインでは、ランキングについては当然触れられていませんが、Needs Metの度合いが直接ランキングに大きくかかわってくると考えられます。
なお、Needs Metだけがランキングに関わるわけではありません。
たとえば、特に2017年12月の医療健康アップデートでは、一般の人も検索するような医療系クエリに対して論文調のコンテンツが多くランクインしているケースも多くみられました。
このようなコンテンツはE-A-Tは高いと考えられますが、一般の人には理解が難しく、Needs Met評価は高くないと考えられます。
それにもかかわらずこのようなコンテンツが上位に多くランクインしていたということは、Needs Metを犠牲にしてでもE-A-Tを優先していたということが考えられ、Needs Metの評価だけがランキングを決めているわけではないことが予想されます。
とはいえ、多くの場合ではNeeds Metを満たすことが非常に重要で、そのためにはキーワードのNeedsを意識したコンテンツ作成が必要になります。
キーワードのニーズを把握するための方法
キーワードのニーズ(意図・インテント)を把握するために、以下のようなポイントが考えられます。
- 競合の検索結果を見てみる
- ユーザーの立場になってみる
- キーワードツールを利用する
ユーザーはどのようなコンテンツを、どれくらいの粒度で求めているのか、を把握することが重要です。
競合の検索結果を確認する
最も簡単なインテント調査の方法は実際に調査したいキーワードで検索してみることです。
ここでいう「競合」とは自サイトのベンチマークしているサイトだけでなく、そのキーワードでランクインしているすべてのサイトのことです。
それぞれ以下の観点で確認してみることがおすすめです。
- キーワードの意味の解釈
- そのページの主な内容・テーマ
- そのテーマを構成するトピックと、情報の粒度
意味の解釈(アップルコンピュータかりんごか)が異なるケースはあまりないでしょうが、テーマやトピックは上位表示しているページの間でも大きく異なる場合があります。
特に記事コンテンツの場合は、小見出しを抜き出して競合サイトの間で比較してみるのも有効な方法です。
ユーザーの立場になってみる
ユーザーのニーズを予測するためには、ユーザーの立場になって検索エンジンを使ってみることが有効です。
キーワードの分野と検索の両方に精通し、その検索キーワードを検索するユーザーは今どのような状態で、何をしたいと考えているのか、どのような情報をどの粒度でほしがっているのか、について想像することが重要です。
キーワードツールを利用する
キーワードツールはキーワードのリストアップに非常に役に立ちますが、インテント調査にも役立つことがあります。
キーワード調査には以下のようなツールが便利です。
- サジェストキーワードツール
- 共起語ツール
- キーワードプランナー
関連したキーワードをまとめて俯瞰することで、ユーザーにどんな課題がどれだけ(検索クエリの数や検索ボリューム)あるのかを大まかに把握することが可能です。
個々のキーワードのインテントよりは、テーマ全体でインテントの傾向を把握するのに適した方法です。
まとめ
検索エンジンはユーザーの役に立つコンテンツを高く評価するため、ユーザーニーズを的確にとらえたコンテンツは自然と順位が高くなるものと考えられます。
コンテンツを作成する際は、作成者側の都合でどのようなコンテンツを作るかを決めてしまいがちですが、ユーザーの立場に立って、どのようなコンテンツが求められていて、作成予定のコンテンツはどのようなユーザーニーズをどの程度満たせるのか、について考えてみるとよいかと思います。
コンテンツ作成についてお悩みの場合は
Googleは定期的なアルゴリズムのアップデートを行っており、評価される要素も常に変化しています。
その状況で成果を生むコンテンツを作成するのは非常にパワーがかかります。
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