Webマーケティング、Webサイト制作において「ペルソナ」の設定は非常に重要です。しかし、ペルソナについては「なんとなく理解している」という状態の方も多いのではないでしょうか?
ペルソナをしっかりと設定しないとコンテンツの方向性が定まらず、誰にも見てもらえないものになってしまう可能性が高まります。
今回は、ペルソナの意味や必要性から解説し、ジャンル別のペルソナの例や設定方法・分析方法を解説していきます。ぜひこの記事で知識を身に着け、しっかりとしたペルソナを設定できるように参考にしてみてください。
マーケティングにおけるペルソナの意味とは?
ペルソナはサービスや商品などのユーザーを指すマーケティング用語です。この記事の中では、Webサイト制作におけるペルソナについて重点的に解説していきます。ここでは、同じような意味で用いられる「ターゲット」との違いや、必要性について見ていきましょう。
ペルソナとターゲットの違い
はじめに、ペルソナとターゲットは異なるものであることを理解しましょう。ターゲットは大雑把にユーザーを定義したものですが、ペルソナはサービスや商品などを購入・利用する具体的な顧客像を表します。
たとえば、ターゲットは「30代のIT関連企業で働く独身サラリーマン」のようになりますが、ペルソナは年齢や性別だけでなく、ライフスタイルや価値観などまで具体的に設定します。
つまりターゲットは同じ属性を持つグループ化された人物像ですが、ペルソナは仮想的な一人の人物を細かく設定した人物像です。
ペルソナはなぜ必要?
ペルソナが必要な理由は「ユーザーに刺さるコンテンツを提供するため」です。情報があふれる現代において、私たちは常に情報の取捨選択を求められています。自分自身に向けられた情報でない限り、不要な情報として判断することが多いのではないでしょうか。
一昔前まではマスメディアが絶大な力を持っていたように、大衆向けの情報を発信していても問題ありませんでした。しかし、現代ではよりパーソナルな情報を提供する必要があります。
想定したペルソナに向けたコンテンツを制作することで、ユーザー視点の情報を提供することができるため、訴求力が高まります。ユーザーにとって「自分自身に向けられた情報である」と認識してもらうコンテンツを制作するために、ペルソナは必要なのです。
【ジャンル別】ペルソナの例
具体的にジャンル別のペルソナ例を紹介します。ペルソナ設定としては簡単なものになりますが、イメージとして参考にしてみてください。
女性ファッションサイトのペルソナ例
ファッションだけでなく、ライフスタイルに関わるコンテンツも発信するWebサイトを想定しました。
【属性】
・田中美希子(仮名)
・26歳、女性
・都内在住
【ライフスタイル】
・独身
・一人暮らし
・販売職、正社員
【価値観】
・オシャレ好きで、ファッションのトレンドは常に抑えておきたい
・料理が好きでほぼ毎日自炊している
・Instagramの投稿、閲覧が趣味
男性向け転職情報サイトのペルソナ例
男性向けの転職情報サイトのペルソナ例として、転職に対する価値観や悩みまで想定して設定しています。
【属性】
・斉藤正太郎(仮名)
・31歳、男性
・埼玉県在住
【ライフスタイル】
・既婚
・妻と2歳になる息子の3人家族
・IT企業のサラリーマンとして9年勤務
【価値観(悩み)】
・給与面に不満がある
・初めての転職で家族もいるため失敗したくない
・本当に転職するべきか悩んでいる
簡単にできる料理サイトのペルソナ例
料理サイトのペルソナ例です。忙しい中、子供のためにさまざまな料理を作りたい、という思いまで想定して設定しました。
【属性】
・山中智子(仮名)
・39歳、女性
・都内在住
【ライフスタイル】
・既婚
・夫と9歳の娘、12歳の息子の4人家族
・保育士
【価値観】
・料理は好きでも嫌いでもないが、家族のために毎日作る
・忙しいため料理に掛ける時間は減らしたい
・子供のためにさまざまな料理を食べさせてあげたい
ペルソナの設定方法・決め方とは?
ここまで読み進めたあなたは、ペルソナについてのイメージができてきたのではないでしょうか。ここでは、Webサイトを作成するためのペルソナの設定方法・決め方について、具体的に解説します。
1.想定ペルソナを設定する
はじめに、あなたのWebサイトに訪れると思われる人物像をペルソナに設定します。Webサイトの誘導先や、コンバージョンをもとにプロトタイプとして設定してみましょう。
あなたのWebサイトに訪れ、誘導先やコンバージョンにつながるような動きをする理想の人物像を設定するのです。
さらに、ペルソナが抱える課題や悩みも書き出しておくことで、より細かいペルソナを設定できるようになります。ここで作成するペルソナのイメージは、ターゲットよりももう少し細かい設定がされた人物像です。
2.想定ペルソナの分析(リサーチ)
はじめに想定したペルソナに対して、具体的にどんな人物であるのかを分析します。
・なぜ、あなたのWebサイトに訪れたのか
・ペルソナが抱える課題や問題、悩みは何か
・ペルソナの学歴や経歴
など
実際にあなたのWebサイトに訪れるユーザー像とのズレが無くなるように、リサーチと分析には特に力を入れて実施しましょう。具体的な実施方法については、後ほど解説します。
3.詳細なペルソナの設定
分析・リサーチ結果をもとに、さらに詳細なペルソナ設定を行います。具体的には、次に挙げる項目を埋めていく形で設定すると良いでしょう。
・プロフィール、属性
・仕事関連の情報
・目標、課題
・価値観
・コンバージョンに至るストーリー
など
詳細なペルソナを設定することで、訴求力の高いメッセージを発信できるようになります。ストーリーを作成すると、コンバージョンまでの流れを想定できるため、後の見直しでも役立てることが可能です。
4.ペルソナの見直し
ペルソナは定期的な見直しが必要となります。あくまでも提供者側が想定した人物像であるため、実際のユーザーとのギャップを確認して修正する必要があるからです。
ペルソナの設定は、PDCAサイクルで言えばPlan(計画)の段階に過ぎません。ペルソナをもとに記事を作成し(Do)、実際のユーザー行動とのギャップを確認(Check)して、修正すること(Act)が必要になります。
Webサイトを運用してPDCAサイクルを回し続けることで、ペルソナの価値は上昇し、あなたにとって唯一無二の財産になることでしょう。
ペルソナの分析方法を解説
ペルソナの設定方法・決め方でお話ししたペルソナの分析方法について、具体的な方法を紹介します。
データからペルソナを分析する
想定したペルソナを分析する際は、国や企業が集計したデータを利用しましょう。インターネット上には、無料で参照できる統計データが多く公開されているため、そちらを利用します。
たとえば、以下のように統計データを公表しているサイトがあります。データをもとに分析を行えば、想定ペルソナをより実在のユーザーに近づけることが可能です。
・生活定点
・統計局ホームページ
・e-Stat 政府統計の総合窓口
さらに、統計情報とあわせて、Google Analyticsなどで実際にWebサイトに訪れたユーザーを分析することも非常に有用です。
アンケートやインタビューの実施
より直接的にユーザーの情報を集める手段として、アンケートやインタビューの実施が挙げられます。ペルソナに近しいユーザーに対して実施することで、リアルな声を集めたり、発信側では持てない視点を持てるようになったりするためおすすめです。
直接ユーザーにアンケートやインタビューを実施すれば、さらに詳しいペルソナを設定しやすくなります。しかし、アンケートやインタビューを実施する際には、費用と時間が掛かることが多いため、データ分析と組み合わせながら最適な方法を模索しましょう。
まとめ
ペルソナは商品やサービスなどのユーザーを指すマーケティング用語であり、仮想的な一人の人物を細く設定した人物像です。ユーザーに刺さるコンテンツを制作するためには、欠かせない要素となります。
ペルソナを決める際には、まずは想定のペルソナを設計します。その後、分析・リサーチによって人物像をより細かく設定し、詳細な情報を埋めていきましょう。詳細なペルソナを設計するために、ストーリー仕立てで設定することをおすすめします。
ペルソナの分析をする際は、国や企業が集計したデータや、ユーザーに直接アンケートやインタビューを実施して情報を集めましょう。
ペルソナは一度設定したら終わりというわけではなく、PDCAサイクルを回して改善を続けていく必要があります。しかし、実在するユーザーにペルソナが近づいていくほど、あなたにとってかけがえのない資産になり得るものですので、ぜひこの記事を参考に作ってみてはいかがでしょうか。