文章に関する仕事をされている方にはおなじみの「校正」「校閲」「校了」という言葉ですが、各々の正確な意味や違いをご存じですか?
どれも印刷物やWEBサイトのコンテンツ制作を完了し世に出すために必要な作業。今回はこの3つに関して詳しく説明します。ぜひこの記事を参考に正しい意味を理解し、使い分けてください。
また、動画で校正・校閲の重要性について解説していますので併せてご覧ください。
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校正とは
「校正(こうせい)」とは、文章に誤字や脱字、表記のゆれ、不統一を確認して正しく修正することを指します。十分配慮して書かれた文章でも変換ミスや思わぬ間違いが潜んでいる可能性があり、第三者視点で文章をチェックします。
また、媒体によっては表記に関して統一ルールを設けているところもあり、そのルールに沿って文章が書かれているか確認するのも校正の範囲になります。
校正の行い方
それでは実際に校正とはどのようなことをするのでしょうか?
わかりやすく解説するために、例を用いて紹介させていただきます。
<校正の参考例>
・あきらかな誤字
「暑いコーヒー」 → 「熱いコーヒー」
・表記の統一
「インスタグラム」・「インスタ」・「Instagram」
文章内での表記をどれか一つに統一します。
・漢字とひらがな、送り仮名も統一
「たとえば」・「例えば」
「売上」・「売り上げ」
表記の統一同様、どちらかに統一させます。
・数字も半角か全角のどちらかに統一
「100(全角)」と「100(半角)」
文章だけでなく、写真のキャプションに関しても同様にチェックが必要です。
校正によって表記に一貫性があると、その文章と掲載メディアの信頼性が向上します。
言葉としての「校正」の使い方
校正は主に、印刷物やコンテンツ制作をおこなう出版関係やWEBコンテンツ制作会社などで扱われることが多いのですが、言葉の使い方としては以下のように用いられます。
●例文2:「この方の文章はしっかり校正しないと誤字が多い」
●例文3:「企画書はよくできているが、誤字脱字が目立つので校正して再提出してください」
また、「校正」は印刷物・コンテンツ制作以外でも、企業では日常的に使われる単語でもあります。
校閲とは
「校閲(こうえつ)」とは、文章や原稿に書いてある内容の事実誤認、根拠のない最大級表示、無許可の引用、差別につながる表現などがないかを確認して修正する作業です。著作権に関して問題のある表現がないかも校閲ではチェックします。
校正が誤字脱字といった表記にポイントを置き文章の誤りを修正するのに対し、校閲は内容が事実と合っているかという点を確認することがメインになります。
文章のみならず写真や図表に関してもその内容もチェックする責任が校閲にはあります。
なお、昨今問題になっている誤った内容の記事がメディアで掲載されていたという事例も、校閲が不十分だったことが原因と考えられます。
事実と相違する正確性の低い文章は、制作者や掲載メディアの社会的信用を失わせる可能性もあるので注意が必要です。
校閲の行い方
校閲の行う際には客観的な根拠を調べて確認を行います。
たとえば「●●の調査では30%」と書かれている文章の場合、その調査データそのものが事実かどうかをチェックします。
言い換えれば、データ自体の信頼性確認が必要な場合もあります。
最大級表示に関しても、よく目にする「日本で唯一」「日本最大」といった謳い文句があります。
本来は客観的な裏付け資料を確認し、裏付けがむずかしい場合は「日本では数件」「日本で最大級クラス」などの表現に変更します。
引用においては、引用元の許可を必要とするデータは、掲載前に必ず許可を取るか引用を控えるようします。
なお、差別的な文言においては、読者が「差別された」と感じる可能性があるか否かで判断します。
表現をする側で「そのような意図ではない」としても、読者が不愉快な気持ちを抱いたこと自体が問題になるのです。
言葉としての「校閲」の使い方
「校正」と違い日常的に扱う単語ではありませんが、基本的には編集者やディレクターなど出版関係やWEBコンテンツ制作関連の仕事に従事する方が使います。
●例文2:「専門家の校閲をせずに校正だけで出版するのは、リスクが大きい」
また、校閲はある程度の専門知識や経験を必要とする仕事です。
校了とは
「校了(こうりょう)」とは、「校正終了」の略で、原稿や文章が校正・校閲を終え、印刷やWEBサイトにアップしても問題がない状態を指します。
出版社では、誤脱や事実確認のために、複数回の校正・校閲が行われるのが一般的です。
企業の規模によっては、制作部門の校閲担当を通った文章が最終的に全社を管轄する校閲部門を通り、これ以上修正する箇所がない状態の原稿が「校了」原稿と呼ばれます。
校了の行い方
校正・校閲を終え、編集者やディレクターなどの担当者が、これ以上修正する必要がないと判断できた時点で「校了」となります。
言葉としての「校了」の使い方
こちらも「校閲」同様、基本的には編集者やディレクターなどが使う単語です。
●例文2:「校了までは忙しいので時間の余裕がない」
●例文3:「校了したので印刷に回していいですよ」
責了とは
校了と似た単語に「責了(せきりょう)」があります。「責任校了」の略で、最終的なチェックや確認を編集者や印刷会社が責任をもって行い、若干の修正を行ったうえで校了とし、次工程に進めることを指します。
簡単な文字修正の場合は責了として問題ありませんが、大幅な修正が必要なケースには責了という言葉は向きません。
まとめ
「校正」「校閲」「校了」の意味の違いと使い分け、ご理解いただけましたでしょうか?
「校正」は誤字脱字のチェックを指し、一般的な会社でも日常的に使います。「校閲」はある程度の専門知識が必要となり、「校了」は文章が印刷に回せる状態のこといいます。
似たような言葉ですが、それぞれ意味は異なります。校正・校閲においては会社の信頼性を左右する重要な工程になり、文章を書く側も校正・校閲に十分配慮する必要があります。