さまざまなAIツールの出現により、コンテンツ作成やSEO施策のサポートにAIを活用するケースも増えています。
一方でGoogleは、AI使用の有無にかかわらず、ユーザーのためにならないコンテンツは評価しないと明言しています。
この記事では、今後のSEOとAIの関係性について、SEO歴18年のねぎお社長が解説します。
AIをSEO対策にうまく導入したいけれど、適切な使い方がわからない、という企業サイト担当者様は、ぜひ参考にしてください。
GoogleのAIに対する考え方
ChatGPTやBard、BingAIなど、さまざまなAIツールの誕生により、今後はAIを活用して作成されたコンテンツの増加が予想されます。
AI生成コンテンツについて、Googleはどのように考えているのでしょうか?
Google検索セントラルブログ内「AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス」のページをベースに解説します。
前提:ユーザーファーストであれば問題ない
Googleがこれまで掲げてきた「ユーザーファースト」の理念は、AIの登場に左右されるものではありません。
実際に、Googleは「AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス」で以下のように回答しています。
質の高いコンテンツの評価に重点を置くことは、Google が創業以来、軸としてきたことです。その方針は今も変わらず、信頼できる情報を表示するように設計されたランキング システムから、ヘルプフル コンテンツ システムにまで徹底されています。昨年導入したヘルプフル コンテンツ システムは、検索でよい掲載順位を獲得することを目的としたコンテンツではなく、ユーザー第一に作成されたコンテンツを検索者が確実に見つけられるようにするための仕組みです。”
つまりGoogleは、「どのような手段で作られたコンテンツであっても、ユーザーのためになるのであれば一律で評価する」と示しています。
記事を作成したのがAIなのかどうかは関係なく、ユーザーに有用なコンテンツを高く評価し、有用でないコンテンツは評価しないという見解です。
ただしGoogleは、2023年8月24日に行なわれた「Japanese Google Search Office Hours(Google 検索オフィスアワー 2023年08月24日)」にて、以下のような発言をしています。
現在のLLMは品質が達しておらず人間によるレビューが必要で、将来的にもその域に達するかどうかもわからない
(AI翻訳について)AIが意味のあるコンテンツを生成しているかどうかを確認するために、翻訳をレビューする必要がある。
このように、AIを使ったコンテンツはいずれにしろ人間の目によるレビューが必要だと考えていることがわかります。
自動化による品質の低いコンテンツに注意
ユーザーファーストであればAIツールの使用は問わないとする一方で、AIを利用した自動生成コンテンツをスパムとして扱う可能性があるとGoogleは警告しています。
スパム行為のある自動生成されたコンテンツ(「自動生成コンテンツ」)とは、独自の価値を生み出したり、十分な価値を付加したりすることのない、プログラムで生成されたコンテンツのことです。
~中略~
・検索キーワードを含んでいるが、文章としては意味をなさないテキスト
・自動ツールで翻訳されたテキストが、人間によるチェックや編集を経ずに公開されたもの
・品質やユーザー エクスペリエンスを考慮せず、自動プロセスで生成されたテキスト
・類義語生成、言い換え、難読化などの自動化手法を使用して生成されたテキスト
・フィードや検索結果の無断複製によって生成されたテキスト
・複数のウェブページからのコンテンツを、十分な価値を加えることなくつなぎ合わせたり組み合わせたりしたもの
Googleは、かねてより上記のような「品質の低いコンテンツ」はスパムとして扱う可能性があると言及しており、AIが活用されるようになってきた現在も変わりはありません。
また、「質の高いサイトの作成方法についてのガイダンス」では、Googleが掲げる品質の高いコンテンツについての考え方を確認できます。
以下は、高品質なコンテンツ制作のヒントとして掲げられている質問の一部を抜粋したものです。
・スペルや文体の間違い、事実誤認がないか。
・記事は適切に編集されているか。急いで制作されたような印象を与えていないか。
・自らブックマークしたり、友人と共有したり、友人にすすめたくなるようなページか。※以下より一部抜粋して引用
引用元:質の高いサイトの作成方法についてのガイダンス | Google検索セントラル
本記事内でも後述するE-E-A-Tの考え方に加え、重要なポイントが解説されていますので、サイト運営担当者の方は一度確認すべきです。
SGEの登場によりGoogleがAIで検索に対して回答をする未来も
Googleは、SGE(=Search Generative Experience)と呼ばれるAIを活用した新たな検索体験の実験中です。
ユーザーの検索に対しAIが回答するもので、SEOで上位を獲得したサイトよりも目立つ最上部に表示されます。
現時点ですべての検索クエリに対応しているわけではないものの、将来的にはSGEによる回答がスタンダードになる可能性があります。
このように、Google自身がAIを活用したシステムを開発していることからも、AIを使ったコンテンツをすべて否定しているわけではないと推測できます。
【AI】どのようなコンテンツならSEOでも評価されるのか
コンテンツ制作におけるAIの活用法について、Googleは以下のような見解を出しています。
自動化はこれまでも長い間、スポーツの試合結果、天気予報、文字起こしなどの有用なコンテンツの生成で使用されてきました。AI は表現と創作の新しいかたちを生み、優れたウェブ コンテンツの作成に役立つ重要なツールとなる力を備えています。
ここで示されるように、AIは、データ分析や文字起こしなどのツールとしてこれまでも活用されてきました。
このように、結果的にユーザーのためになるコンテンツ作りの過程にAIの力を借りることを、Googleは否定していません。
しかし同時に、AIが作成したコンテンツをそのまま記事として公開することを肯定していないのも事実です。
ここではあらためて、AIがどのような仕組みで動いているのか、またどのようにコンテンツ制作に活かしていくべきかを解説します。
チャット型AIの仕組み
そもそもBardやChatGPTのようなチャット型AIは、これまで蓄積した膨大なデータのなかから、あくまで「正しいであろう情報」を、機械的に確率論で選んでいるにすぎません。
例えば、ユーザーが検索窓に「鬼滅の……」と打ち込むと、AIは「おそらく“鬼滅の刃”について知りたいのだな」と判断して、その回答をします。
これは過去に“鬼滅の刃”を検索したユーザーが多かった事実から導き出された回答であり、現時点で目の前のユーザーが本当に求めている情報かまでは考慮していません。
そのため、一見検索キーワードにマッチしているようなコンテンツが完成したとしても、ユーザーにとって必要で正しい情報とは限らないのです。
AIは使い方次第で薬にも毒にもなる
AIは、正しい使い方をすれば、SEO対策のうえで強力なツールになることは間違いありません。
例えば、これまで手動で行なっていた膨大なデータ分析や、誤字脱字のチェックを任せるなどの活用法が考えられます。
このように、直接的なコンテンツ作成以外でも、AIはさまざまな分野でSEOをサポートしてくれる強力なツールです。正しい使い方を理解したうえで、AIをSEOに活用すべきです。
しかし、AIを適切に活用するためには、次に解説するSEOの本質を押さえておくことが大切です。
AIに惑わされないで!Googleがコンテンツを評価する2軸
この先AIがさらに進化したとしても、SEOの本質を常に忘れないことが重要です。AIはボタン1つで記事を作れてしまう魔法のツールではあるものの、その便利さに惑わされてはいけません。
ここでは、Googleがどのような記事を評価するのかを2つの軸からあらためて振り返って解説します。
E-E-A-T の品質を満たしているか
E-E-A-Tとは、経験(Experience)、高い専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)の頭文字を取った言葉で、Googleの品質評価ガイドラインのなかでも重要度の高い項目です。
仮に、AIを使ってE-E-A-Tを満たせるコンテンツを生み出せるのであれば問題ありません。
しかし前述したように、現時点のAIは、確率論をもとに導き出したコンテンツを作成しているにすぎず、E-E-A-Tを満たせているとはいえないのが現状です。
AIを使ってE-E-A-Tを満たした高品質なコンテンツ作成ができるのか?
SEOのサポートにAIを活用しようと考えている場合は、今一度考えることが重要です。
「誰が、どのように、なぜ」コンテンツを作ったのか
E-E-A-Tでも権威性・信頼性という言葉に触れているように、誰がそのコンテンツを書いたのか正しく明記することは、ユーザーにとってそのコンテンツの信頼性へとつながります。
例えば、税金に関する疑問が浮かんだとき、誰が書いたのかわからないコンテンツと、税理士や弁護士などの専門家が書いたコンテンツのどちらを参考にしたいと思いますか?
また、多くのサイト内に見られる商品レビューや口コミは、ユーザーにとってどこまで信頼できるのか?
例えば「ほかの商品よりも優れている」と書かれていても、根拠が不明であれば信頼できる情報とはいえないです。
記事作成者が実際に商品を手に取って比較したのか、利用者アンケートで意見を集めたのかなど、コンテンツの作成方法は信頼度に影響する重要なポイントでもあります。
最後に、あなたがコンテンツを作る理由について振り返ってみましょう。
ユーザーに役立つ情報を提供するため?
もしくはGoogleに高く評価されるためでしょうか?
もし前者であれば、自然にこれまで解説した項目を満たし、結果的に「品質の高いコンテンツ」になっています。
逆に後者であれば、「品質の低いコンテンツ」になっている可能性があります。
繰り返しになりますが、SEOにおいてAIの使用の有無は問われません。
重要なのは、ユーザーのためになるコンテンツを作成すること。
仮に、ユーザーのためになるのであれば、GoogleはAIの使用も否定しない、ということを覚えておいてください。
Googleのトレンドから見る今後のAI×SEO
サイト運営者にとって気がかりなのは、将来的にAIがどのようにSEO対策に影響を与えるのかだと思います。
Googleがこれまで実施してきた検索アルゴリズムおよび品質評価ガイドラインのアップデートからねぎおが独自に予測します。
ヘルプフルコンテンツアップデート
Googleは、オリジナル性がなく、人の助けにならないコンテンツを評価しないよう、アルゴリズムの改良を継続的に行なっています。
ヘルプフルコンテンツアップデートもその一種で、上位表示をおもな目的として作られたコンテンツを淘汰するために、これまで複数回にわたって実施されてきました。
膨大なデータから、「正しいであろう情報」を正として採用するAI生成コンテンツは、決してオリジナリティがあるとはいえず、高い評価は期待できません。
なお、ヘルプフルコンテンツアップデートはこれまで複数回更新されており、評価基準も変化しています。
以前は、コンテンツ作成に「人の手」が介入していることを重視する記載が確認できましたが、現在は削除されています。
このことから、Googleは、コンテンツの作り手が人であってもAIであっても、ユーザーにとって有用であれば評価することがわかります。
ヘルプフルアップデートについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
品質評価ガイドライン
前述したとおり、Googleは品質評価ガイドラインでも示しているE-E-A-Tを重視しています。
E-E-A-Tは、当初はE-A-Tであり、「経験(=Experience)」は含まれていませんでした。
新たに追加した「経験」こそが、特にGoogleが重視している要素だと考えます。
しかし、AIで生成したコンテンツに独自の経験を含めるのは不可能です。
また、インターネット上から寄せ集めた情報をツギハギしたようなコンテンツでは、ユーザーに独自性も伝わらないです。
このような理由から、Googleは、AI生成によるE-E-A-Tを満たさないコンテンツを今後も評価しないようなアップデートを継続すると予想します。
品質評価ガイドラインは150ページを超える文章になっており、日本語訳もされておりません。
こちらの記事では、品質評価ガイドラインの要約と解説も行っております。
併せご確認ください。
これだけは注意!最悪なコンテンツの作り方
AIで自動生成したコンテンツの評価が期待できないからといって、人の手で作成したコンテンツが必ずしも評価されるわけではありません。
極論をいえば、たとえ人の手によるものであっても、中身がAIで作成したようなコンテンツと同様であれば、低品質だとみなされます。AI生成よりも時間をかけて作りこんだつもりでも、中身がともなっていなければGoogleから評価されないのです。
例えば、複数の上位サイトから拾った情報をつなぎ合わせただけのような内容の薄いコンテンツは、AI生成かどうかにかかわらず、いずれ淘汰されていきます。
また、コンテンツ単体だけではなく、このようなページを多く含むサイトも、今後淘汰されるはずです。
身に覚えがある場合は、これを機にコンテンツ制作への向き合い方を見直すべきです。
サイト全体の評価を保つためには、これから作成するコンテンツはもちろん、既存のコンテンツにも該当するものがないか確認することが大切です。
まとめ
AI自体は悪いものではなく、SEOのサポート役として活用することをGoogleも否定していません。しかし、AI自動生成に頼ってユーザーに役立つコンテンツを作成できるかといえば、疑問が残ります。
大切なのは、コンテンツの作り方よりも内容です。
常にユーザーを第一に考え、独自性と有益性のあるコンテンツ作りを継続すれば、Googleからの評価はおのずとついてきます。
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