大規模サイトやデータベース型サイトは、ページ数が増えるほどアクセス数や売上にも影響をおよぼします。しかし一方で、規模が大きくなるほど全体を把握するのが難しくなり、「SEO対策をどうしたら良いかわからない」という声もよく聞かれます。
本記事では、大規模サイトやデータベース型サイトで押さえておくべきSEO対策のポイントについて解説します。
大規模サイトの定義
大規模サイトの明確な定義はありませんが、Googleは「重複のないページが 100 万以上あるサイト」と言及しています。
大規模サイトには、一般的にデータベースが多く用いられています。また、コンテンツは一様ではなく、複数のサイトから構成されていることが一般的です。
例えばYahooは、Yahoo!ショッピングやYahoo!オークションなどで構成されています。SUUMOのような不動産サイトも、不動産売却の一括査定や、注文住宅の情報サイトなどからできています。
この記事では、上記のようなデータベースを用いたサイトを「データベース型サイト」として話を進めます。データベースが用いられているのであれば、「重複のないページが100万ページ」に満たないサイトでも、以下に解説するSEO最適化に有効なケースが多いはずです。
参考:大規模サイトのクロール バジェット管理 | Google 検索セントラル
データベース型サイトとは
データベース型サイトは「定型的なデータをもとに、動的にページが生成されるサイト」といえます。具体例として、以下のようなサイトでよく見られます。
データベース型サイトと記事型サイトとの違い
記事型サイトにおいても、データベースが使用されているケースはあります。しかし記事型サイトは、データベース型サイトに比べて定型度が低いなど、サイト構造やページ生成方法やそれによって採用されるSEO戦略が大きく異なります。
具体的な構造の違いを説明すると、記事型サイトでは戦略として「トピッククラスター」が用いられます。トピッククラスターとは、メインコンテンツを中心として、関連するコンテンツを内部リンクでつなぎ、サイトのSEO評価を向上させる手法です。
一方、データベース型サイトは、サイト構造(ディレクトリやパンくずリスト構造)を適切に整えることで、下層ページの評価が上部ページの評価につながるケースが多く見られます。
以上のことから、記事型サイトでは記事ごとのSEO施策が適しているのに対し、データベース型サイトでは、サイト全体に反映される施策が効きやすく、ページテンプレート単位での施策が効きやすいといえます。
大規模サイトやデータベース型サイトのSEOで意識したい点
大規模サイトやデータベース型サイトは、「ページ数が多い」という点が大きな特徴です。そこでSEO評価を高めるポイントとして、次の3つを意識してください。
- そもそも検索エンジンに適切にクロールされ、インデックス登録されているか
- 検索クエリに対して、狙っているページで順位を取得し、CVR(コンバージョン率)などに反映されているか
- サイト全体の評価が高められているか(個別最適ではなく全体最適の意識)
上記3つを達成するための具体的な方法を、以下で紹介します。
サイト構造・カテゴリ構造を整える
サイトの規模が大きくなるほど、サイト構造を明確にしておくことが重要になります。サイト構造はパンくずリストで表示され、検索エンジンの効率的なクローリングや、ユーザビリティの向上につながります。
サイト内には、一例として以下のようなページがあります。
- カテゴリページ(一覧ページ)や詳細ページ
- サービスページやコラムページ
- あるサービスのページと別サービスのページ
これらのページがカテゴリごとに分類され、関係性や階層が整理されていることが大切です。加えて、どのテーマ(トピック)をサイト内のどの領域で対策するのかも、明確化しておきましょう。
大規模サイトやデータベース型サイトでは、複数のWeb担当者がいる場合も少なくありません。適切に管理されていないと、似たようなページが作られてしまったり、過去の施策によって脈絡もなくさまざまなページが作成されていたりすることもあります。
特にサイトの規模が大きくなるほど、キーワードカニバリゼーションが起きやすくなります。キーワードカニバリゼーションは、自社サイトのなかで複数の記事が同じキーワードで競合してしまうことで、順位やランクインページの安定化が難しくなることがあります。
これらを避けるためにも、企業全体としてのサイトの管理やメンテナンスをどう行なうか、方針を立てておきましょう。
1ページ当たりの品質を高める
Googleは、すべてのページをインデックスすることを保証していません。そのため、サイトが大きくなるほど、クロールやインデックスの問題が発生しやすくなります。
特に品質が低いサイトでは、その傾向が顕著です。不要ページや重複ページを減らし、残ったページの品質を高めるなど、常に品質をキープする努力が求められます。
ページ品質の向上に関する詳細は、後述します。
一度に複数のページに効果がある施策を行なう
データベース型サイトは特に、1ページ1ページに対策を実施するのではなく、一度に複数のページに効果がある施策を優先して行なうことがおすすめです。
以下に、施策例と概要を紹介します。
サイト構造の見直し
大規模サイトにおいては、コンテンツが整理されていないために、サイト構造が複雑になっている例が多く見られます。SEO対策を意識したカテゴリ分類ができているか、見直しを図りましょう。
ページテンプレの見直し
ページテンプレとは、Webサイトを作成する際のデザインやレイアウト、記事のひな形を指します。
Googleが評価の対象としているのは、ユーザーにとって価値のある(ユーザーの検索意図を満たす)記事です。そのためコンテンツはただ作成すれば良いのではなく、対象キーワードを含め、ページ全体が検索意図に合わせて構成されているかが重要です。
同階層(同テンプレ)ページにおけるコンテンツ要素の見直し
たとえば不動産情報サイトで市区町村ごとにページを作成する場合、各ページにはその市区町村の人口・主な施設・鉄道駅などの情報を入れるかもしれません。
このようなコンテンツは市区町村ごとに詳細内容は異なるものの、コンテンツ作成ルールは同じように展開することが可能です。
ユーザーの検索意図をよりよく満たすために、どのようなコンテンツが必要なのかを考えて、各ページに配置するようにします。
内部リンクルールの見直し
コンテンツ要素と同様に、各ページの内部リンクもルールを決めて設定することが可能です。
適切な内部リンクはユーザビリティを高め滞在時間の増加に寄与する可能性があるほか、検索エンジンに対してもページ間の文脈を伝えることでSEO評価にプラスとなるほか、ページを見つけてもらい、インデックス率やクロール頻度の向上に寄与する可能性もあります。
内部リンクを適切に設置するためにも、ルール決めや管理をしっかり行なうことがおすすめです。
タイトルなどテキスト設定ルールの見直し
検索エンジンに適切にインデックス登録してもらうためには、タイトルタグやメタディスクリプション、画像や動画への代替テキスト(alt属性)が正しく設定されている必要があります。
それらのテキストに目的とするキーワードが入っているか、最小限の文字数でページやコンテンツ内容を簡潔に表現できているかといったことを見直してみましょう。
以上、施策の一部を紹介しましたが、複数ページを対象にしているため、誤った施策を行なうと複数ページにマイナスの影響をおよぼす可能性があります。慎重に検討してから実施してください。
大規模サイトやデータベース型サイトのSEO施策例
続いて、大規模サイトやデータベース型サイトでのSEO施策例を紹介します。
ただし、サイトの状況によっては、すべてが効果的であるとは限りません。場合によっては行なわないほうが良い施策もあるため、自社サイトの状況をしっかり把握してから進めてください。
sitemap.xmlの最適化
サイトマップには、ユーザー向けのHTMLサイトマップと、おもに検索エンジン向けのsitemap.xmlがあります。後者のsitemap.xmlは特に重要で、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)などによって、最新情報を自動的にキープできるようにしておきましょう。
sitemap.xmlの作成に関して、以下に注意すべきポイントを挙げます。
- インデックスさせるべきページは、すべて記載する
- 更新性の高いページには、lastmodを正しく記載する
- インデックスさせないページ(404やnoindex、ほかのページに正規化されているページ)は記載しないようにする
クロール・インデックスの最適化
インデックスさせたいページへのクロールを増やすためには、インデックスさせる必要性の低いページへのクロールを、できるだけ削減することが重要です。
以下に、そのための施策例を紹介します。
不要なページを削除する
不要なページは削除して、カスタム404ページを作成した上でステータスコード404(404 not found)を返すようにしましょう。
必要なページではあるが重複している場合には、次項で示すようにリダイレクト等の重複対応を行います。
そもそもの話として、不要なページを無尽蔵に生成しないシステム設計も求められます。
重複ページを統合する
役割が同じ、またはページ内容がまったく同じでURLが異なるだけといったページがあれば統合してしまうのが適切です。このような場合には統合先のURLに向けて301リダイレクトを使用します。
検索エンジンや検索ユーザーにとって不要なページの対応を行なう
コンテンツとして必要なページであっても、検索エンジンや検索ユーザーにとっては不要なページがあります。
例えばECサイトにおいて、商品の色違いページは必要ですが、検索エンジンにとっては、いずれか1ページだけがあれば良いというような場合です。
このようなときには、canonicalやnoindexタグを設置してインデックスさせないようにするといった対応を検討します。クロールやインデックスの対象となるページを減らすことで、サイト全体の質の向上が期待できます。
ただしサイトによってはこのようなページにもトラフィックが発生していることもあるため、状況に応じた対応が必要です。
不要ページや重要性の低いページにリンクしない、なるべく見えないようにする
内部リンクによってGoogleはページを発見し、リンク先URLがクロール対象となります。終了したキャンペーンのページや上記のように検索される必要性が低いページなどのリンクがあると、不要なページや重要性の低いページのインデックスやクロールにつながる可能性があります。大規模サイトでは1つの内部リンクルールが大量のリンクにつながることもあるため、それが無駄にクローラーのリソースを浪費してしまうことにつながりかねません。
Googleにインデックスさせる必要のないページでは、あえてPOSTメソッド(リクエストの内容をHTTP通信のbody部分に含めることで、URLにその内容が表れない通信方式)を使うのも有効です。
参考:GETメソッドとPOSTメソッドの違いとSEO面からの使い分け
ページ品質の向上
不要ページや重要性の低いページを整理し終えたら、続いて、重要なページの品質を高める施策を行ないます。大規模サイトに限った話ではありませんが、1ページ当たりの品質が低ければ、検索エンジンからの評価が上がることはないためです。
ページ品質の向上を図るにあたっては、大規模サイトの場合、一括で対応できる部分の施策を優先するとよいでしょう。その後、一括でできない部分を個別に対応していきます。
以下に、施策の一例を紹介します。
自社が保有する独自データを使った統計情報などを動的に生成する
検索エンジンが評価するのは、有用性の高いオリジナルコンテンツです。例えばGoogleの検索品質評価ガイドラインでは、コンテンツの質として独自性のほか、専門性、権威性、信頼性などを挙げています。
オリジナルコンテンツとして高い評価を受けるためには、自社独自の体験や分析、視点などを加えたコンテンツ作りが欠かせません。加えて、自社が保有する独自データや統計情報を利用して動的に生成されるページに入れ込むことも検討しましょう。
各カテゴリページ向けに、オリジナルテキストを作成する
カテゴリページには、キーワードを含めたタイトル(オリジナルテキスト)を追加しましょう。ひと目見ただけでページの概要(メインとなるテーマ・トピックやそのページの目的など)がわかるようになり、ユーザーの理解を手助けできます。
図解やイラストなどを追加する
コンテンツに、図解やイラストなど画像を追加する方法もおすすめです。内容に合った図解やイラストは、ユーザーの理解を助け、結果として、検索エンジンからの評価も高まるでしょう。
画像検索からの流入も狙えるため、図解やイラストには、代替テキスト(alt属性)の設定を忘れないでください。
高品質な図解やイラストは時間や工数がかかる可能性がありますが、それゆえに競合との差別化要素となり得ます。
まとめ
大規模サイトやデータベース型サイトでは、ページが増えることによって全体の管理が難しくなりがちです。
検索エンジンがクロールしやすく、インデックス登録してもらえるサイトにするためには、カテゴリ分類やページの関係性など、サイト構造を整えておきましょう。また、検索の必要のないページはできるだけ削除し、重要ページの品質を高める施策を行ないます。
本記事では、大規模サイトやデータベース型サイトのSEO対策として、おもな施策を紹介しました。ぜひ参考にしてみてください。