数年前までは、サイト上の記事への埋め込み動画にはほとんどSEO効果がないという見方もありました。
しかし現在では、Google検索結果に動画タブが設けられていたり、メインの検索結果ページでも動画タブの内容が一部表示されたりするようになっています。
Googleも「何百万ものさまざまなサイトから動画をインデックス登録してユーザーに配信しています」とアナウンスしています。(Google検索セントラル「動画のベスト プラクティス」)
この記事では、動画を記事に埋め込むことで生まれるSEO効果と具体事例、ベストプラクティスについてご説明します。
動画SEOとは
動画SEOという言葉に明確な定義はありませんが、時と場合によって以下のような意味合いで使用されます。
- 動画をページに埋め込むことでページのSEOを成功させる施策
- 動画を使用する際に注意すべきSEO施策
- YouTubeなどの動画プラットフォーム内での検索上位を狙う施策
動画SEOは時には video + SEO の造語としてVSEOと呼ばれることもあります。
文脈や人によって使い方が異なる可能性がありますので、何を指しているのかに注意しながらコミュニケーションをはかる必要があります。
なお、Googleが動画SEOと言及する場合は、2の動画を使用する際のSEO上の注意点を指すことがほとんどです。
参考:動画 SEO に関する新しいリソース
3は、YouTube SEOと呼ばれることもあり、YouTuberやYouTubeチャンネルが自分の動画をより多くの人に見てもらうために行う施策のことです。
独自のテクニックもあるでしょうが、YouTubeの公式情報として、検索のランキングに関連性(タイトルや説明など)、エンゲージメント(再生時間など)、品質(専門性、権威性、信頼性)を主要要素として位置付けているとの言及があります。
参考:YouTube 検索 – YouTube のしくみ
YouTube内でのSEO(上位表示対策)については以下の動画をご覧ください。
この記事では1と2の意味での動画SEOについて詳しく解説します。
動画を記事に埋め込むことのSEO効果
まず押さえておいて欲しいのは、動画を記事に埋め込むこととGoogleの検索順位との間に、直接的な因果関係はないということです。
つまり、単純に動画を埋め込むだけで順位が上昇することはありません。
Googleのサーチトレンドアナリストのゲイリー・イエーシュ氏は、2017年にTwitter上で「動画を記事に載せたからといって、それが検索順位の上昇に直結することは絶対にない」とコメントしました。
Having a video on your page will absolutely not help you rank better in web search.
Obviously you're entitled to have your own opinion tho— Gary 鯨理/경리 Illyes (@methode) May 5, 2017
動画の有無が、検索順位に直接影響することはありません。ただ、記事内に埋め込まれた動画が間接的にSEOに好影響を与える可能性はあります。
動画を記事に埋め込むことで、例えば
● 動画検索からの流入獲得
● 精読率の向上
● キーワードとの関連性がアップ
● 被リンクやサイテーションの獲得
といった効果が得られることがあり、間接的にSEOを強化するのです。
それぞれ、補足説明をしていきます。
動画検索からの流入を獲得できる
1つ目の効果は、なんといってもGoogle検索結果の動画枠や動画タブ内に表示される可能性が生まれることでしょう。
場合によっては、メインの検索結果ページに埋め込んだ動画が表示される可能性もあります。
検索結果に反映されやすい動画は、やはりYouTubeです。
Google傘下かつ世界第2位の検索エンジンということもあり、YouTubeはほかの動画サービスに比べて動画SEOではとても有利だといわれています。
実際に、多くの企業サイトやWebメディアは、YouTubeに投稿した動画のリンクをサイト内に設置して埋め込み表示する手法をとっています。サクラサクラボでも、この手法を使い、動画検索から流入を獲得できています。
精読率が向上する
2つ目の効果は、ユーザーの検索意図に合致する動画を記事内上部に配置することで、記事の精読率(ユーザーがどの程度記事をスクロールして読み進めたか)や滞在時間が向上することです。
精読率の高さや滞在時間の長さは、その記事がユーザーにとって役立つ情報を備えているとGoogleに評価される材料となり得ます。
ページの品質が高まる可能性がある
3つ目の効果は、埋め込んだ動画によって、ページの品質が高いとみなされる可能性があることです。
例えば、商品レビュー記事の場合、テキストや画像の説明だけでは伝わりにくい使用シーンや使用感を動画にすることで、ユーザーにその商品を使用するリアリティが芽生えて、購買などのアクションにつながる可能性があるでしょう。
結果的にその記事全体がユーザーに有益なものとGoogleに評価され、キーワード順位が上がりやすくなる可能性があります。
もちろん、ページとの関連性が高い動画であることがポイントとなります。
被リンクやサイテーションを獲得しやすくなる
4つ目の効果は、埋め込んだ動画によって有益性を増した記事は、ユーザーの「紹介したい」「言及したい」という意識を喚起し、被リンクを獲得しやすくなる可能性があります。
被リンクは、Googleが評価軸にしている指標の一つです。
また、被リンクだけでなく、被リンクに近いSEO効果があるといわれているサイテーション(SNSなどでの引用・言及)についても同様です。
例えば、動画付きのページを発見したユーザーが、そのコンテンツを気に入ってSNSで発信して拡散したということになれば、サイテーションが増えるため、そのページの検索順位上昇につながる可能性があります。
動画の効果でアクセスや拡散が広まれば、SEOの評価もさらに上昇します。
結局のところ「ユーザーが求める情報を発信できるかどうか」が最も重要であり、動画も埋め込むことでユーザーの評価を獲得することができればSEOの評価も上がる可能性があるということです。
サクラサクラボの動画SEO対策事例
当サイト『サクラサクラボ』では、以前から動画を埋め込んだ記事を多数制作してきました。
Google検索結果の動画タブ内に記事が表示され、動画検索経由での流入が増えた記事も少なくありません。
いくつか事例としてご紹介します。
キャプション:「共起語」で1位、2位にランクイン
キャプション:「サーチコンソール」で2位にランクイン
キャプション:「強調スニペットとは」で1位にランクイン
キャプション:「seo アップデート」で2位、3位にランクイン
検索ボリュームやヒット件数が大きいキーワードは、一般的に上位表示の難易度が高いといわれます。
それでも、動画検索ならば上位表示される可能性があることがおわかりいただけると思います。
もちろん動画検索でも、できるだけニッチなキーワードでヒットするページのほうが上位表示されやすいでしょう。
テキスト情報のみを発信しているサイトに比べて、動画を発信しているサイトは圧倒的に少ないため、地道に続けていれば大きなキーワードでも上位表示される可能性があります。
動画を使う際のSEOベストプラクティス
Googleの検索エンジンが動画をインデックス登録しているといっても、クローラーは動画内容(映像や音声、テロップなど)を視聴しているわけではありません。
動画のタイトルやディスクリプション、タグ、そしておそらく動画内の自動書き起こし結果などのテキスト情報から動画内容を判断しています。
動画を記事に埋め込むにあたって整えておきたい5つの観点をご紹介します。
構造化データ
構造化データとは、検索エンジンやクローラーが「○○(項目)は△△(内容)である」と記事・動画の文脈を把握してデータベースに登録できるようにHTMLタグでマークアップしたデータ(情報)のことを指します。
記事に埋め込んでいるYouTube上の動画などについて、構造化データをマークアップすることによって、動画のタイトルやディスクリプション、サムネイルURLといった情報を検索エンジンに正確に伝えられます。
構造化データのマークアップは、VideoObjectを使用して行ないます。
詳しいガイドラインは、Google検索セントラル「スキーマ マークアップを使用して Google に動画を表示させる」をご覧ください。
Googleの「構造化データ マークアップ支援ツール」を利用するのもおすすめです。
動画のサイトマップ送信
動画サイトマップとは、動画のタイトルやURLなどの情報をXMLという所定の様式でリスト化したファイルのことで、これを適宜Googleに送信することで、インデックスしてもらいやすくなります。
動画サイトマップの記述様式は、Google検索セントラル「動画サイトマップと動画サイトマップの代わり」のガイドラインに準拠しましょう。
WordPressで構築したサイトならば、サイトマップ作成プラグイン「Google XML Sitemaps」などのツールを使って既存のサイトマップに動画サイトマップを埋め込む方式が便利です。
動画サイトマップ(もしくは動画サイトマップを埋め込んだ既存のサイトマップ)は、Search ConsoleからGoogleに送信します。
ページ内のテキスト情報の充実(動画内容の書き起こしなど)
検索エンジンのクローラーは、動画の内容を視聴してインデックスするわけではありません。
動画の内容をテキストで情報化することによって、クローラーの認識度も上昇します。
テキストでの説明なしに動画だけを貼り付けることは、ユーザーに「説明不足だ」という印象を与え、離脱につながる可能性もあるため、避けるべきでしょう。
上の「サクラサクラボの動画SEO対策事例」で紹介した事例記事はいずれも、テキストが比較的充実しています。
動画に関連したテキストを周囲に載せておくことも、重要なSEO対策になります。
(記事例①「共起語」動画検索1位)無料共起語ツールのご紹介とSEO対策での活用方法
(記事例②「サーチコンソール」動画検索2位)初心者でも簡単!サーチコンソールの登録・設定方法と使い方を徹底解説
記事内容と合致した動画を埋め込む
記事内容と関連性のある動画を埋め込むことで、上の「動画を記事に埋め込むことのSEO効果」でお伝えした3点目「キーワードとの関連性が高くなりやすい」が実現します。
上の「サクラサクラボの動画SEO対策事例」で紹介した事例記事もすべて、記事のテーマやキーワードと合致した動画を埋め込んでいます。
(記事例③「強調スニペットとは」動画検索1位)強調スニペットとは?表示させる方法と必要な対策
(記事例④「SEO アップデート」動画検索2位)【速報】2020年12月コアアルゴリズムアップデートの変動事例
高品質な動画を用意する
大半のユーザーは、動画のタイトルとサムネイル画像から視聴する・しないを判断します。ユーザーの興味のフックとなるサムネイル画像は、なるべく高品質なものを用意しましょう。
また、そのサムネイル画像や動画ファイルそのもののURLについて、Googleがアクセスできるものであること(robots.txtなどでクロールを拒否していないこと)も重要です。なお、YouTube動画を埋め込む場合はクロールには問題がないでしょう。
詳しくはリンク先動画の4:38以降、5:12以降をご覧ください。
YouTube動画を使用する
通常検索の動画枠や動画検索のほとんどはYouTube動画またはYouTube動画が埋め込まれたページです。
GoogleがYouTube動画を優遇しているかどうかは定かではありませんが、Googleは他の動画よりもYouTube動画のほうが内容を理解しやすいと考えられ、動画フォーマットとしてはYouTubeを埋め込むことのほうが有利だと考えられます。
まとめ
冒頭にお伝えしたとおり、Google自体は動画の有無だけで記事の検索順位の評価を決めてはいません。
基本的にはユーザーが探している情報と合致したときに、上位表示されるということです。
しかし、記事内に動画を埋め込むことでGoogleのアルゴリズム評価に間接的な影響を与えたり、表示回数を増やしたりできる可能性があります。
記事内容やユーザーの検索意図に合致した動画を能動的に埋め込んで、ユーザーに有益なコンテンツを提供するようにしましょう。